なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

 うーん、正直、最終巻は話のふろしきをとじることに精一杯で、それはうまくいっているんたけど、話の加速度は落ちてしまった感が否めませんでした。ちょっと登場人物が多くなりすぎちゃったかな。デクストラらへんはちょっとおざなりな印象もあるし。ソラが捕らわれてからは、ちょっと面白さが減退してしまったような気がするけど、それでも充分面白かったです。神と人の物語、というよりは、人形が人となり、人から神となる話という印象でした。世界の成り立ちがなかなか面白いので、そういうのに興味ある人もいいかも。私が特に面白かったのは、三人(というよりは主にカナギとソラ)のかけあいのところ。会話のテンポが非常によいので楽しめました。表紙を見るとごてごてした印象ですが、ちょっと雰囲気退廃的ではあるけど、一本気でものごとを単純にしたがるカナギはぜーんぜん虚飾的ではないです。彼は、絶対外見に興味ないと思うんだよね〜。ほんとは。とにかくおすすめ。少女少女もしてないし、BLでもないので、男性でも楽しめると思います。ミリアン可愛いし〜。

「他人のために命がけになっちゃ悪いのか? 戦友とか仲間とか家族とか言えば納得するのか? 冗談じゃない、気色悪い!……いやまあソラは仲間って言えば仲間だけど、仲間だって他人だろうが。俺の親族は全員東方で死んだ、あとは他人ばっかりだ、だけどな、他人のために命がけになるくらいしか、俺の人生やることないんだよ!」
カナギ「オペラ・ラビリント―光と滅びの迷宮 (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ角川ビーンズ文庫)p80より

「お前が死んだって、世界は回る。−−でも。でも、お前のいない世界はお前のいる世界とはきっと少しだけ違う」
カナギ「オペラ・グローリア―讃えよ神なき栄光を (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ角川ビーンズ文庫)p46より

「カナギ、君、この三人の中で自分は比較的『一般人』だと思っているでしょう?」
ソラ「オペラ・メモーリア―祝祭の思い出 (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ角川ビーンズ文庫)p223より

  • 死神のキョウ (一迅社文庫)」いきなり現れた「死神」の女の子は、ぼくのことをぼこぼこにしながらも、「守る」と言うが……。「ドクロちゃん」ぽい設定だな〜と思って読んでいましたが、うわ〜こんな展開か〜。これはハズレでした。残念。
  • θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)」「鏡色の門」によりワープのようなことができるようになった世界。東京駅11番ホームは空中にあった。11番ホームの駅員である少女は、相棒の狼と共に今日も駅を守っている。彼女には、「鏡色の門」に関係した大きな秘密があって……。とちゅうまでは、そのハートウォーミングさにちょっとひきぎみだったが、最後まで読むとなかなか面白かった。SF、というよりはサイバーな感じか。AIのアリスへの指示の出し方、危機回避方法のひねりだしかたが粋だった。少女に起こった出来事は過酷だったが、そこからすくい上げ方はなかなか納得がいった。

               Good Luck
『それじゃっ……すぐ後にっ。T.B. 幸運を』
I'll never give up
「引き寄せます、ミス西晒湖」
西晒湖涼子とT.B.「θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)」(籐真千歳・電撃文庫