- 「オペラ・ラビリント―光と滅びの迷宮 (角川ビーンズ文庫)」「オペラ・グローリア―讃えよ神なき栄光を (角川ビーンズ文庫)」「オペラ・メモーリア―祝祭の思い出 (角川ビーンズ文庫)」「オペラ・アウローラ―君が見る暁の火 (角川ビーンズ文庫)」オペラシリーズ読了。東方の薬師で、体内に魔物を飼っているため常に病弱に見えるが剣は強いカナギ。自分には心がないといいはり、常に虚飾ばかりの空言ばかり繰り延べているように見える白皙の詩人こと、ソラ。カナギを狙う暗殺者として現れたが、目的を見失い、二人と一緒に旅をするようになった姿こそ華奢で可憐だが強大な魔法力を持つミリアン。三人の旅が終わるときがやってきた。最終巻の1巻前は短編集。
うーん、正直、最終巻は話のふろしきをとじることに精一杯で、それはうまくいっているんたけど、話の加速度は落ちてしまった感が否めませんでした。ちょっと登場人物が多くなりすぎちゃったかな。デクストラらへんはちょっとおざなりな印象もあるし。ソラが捕らわれてからは、ちょっと面白さが減退してしまったような気がするけど、それでも充分面白かったです。神と人の物語、というよりは、人形が人となり、人から神となる話という印象でした。世界の成り立ちがなかなか面白いので、そういうのに興味ある人もいいかも。私が特に面白かったのは、三人(というよりは主にカナギとソラ)のかけあいのところ。会話のテンポが非常によいので楽しめました。表紙を見るとごてごてした印象ですが、ちょっと雰囲気退廃的ではあるけど、一本気でものごとを単純にしたがるカナギはぜーんぜん虚飾的ではないです。彼は、絶対外見に興味ないと思うんだよね〜。ほんとは。とにかくおすすめ。少女少女もしてないし、BLでもないので、男性でも楽しめると思います。ミリアン可愛いし〜。
「他人のために命がけになっちゃ悪いのか? 戦友とか仲間とか家族とか言えば納得するのか? 冗談じゃない、気色悪い!……いやまあソラは仲間って言えば仲間だけど、仲間だって他人だろうが。俺の親族は全員東方で死んだ、あとは他人ばっかりだ、だけどな、他人のために命がけになるくらいしか、俺の人生やることないんだよ!」
カナギ「オペラ・ラビリント―光と滅びの迷宮 (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ・角川ビーンズ文庫)p80より
「お前が死んだって、世界は回る。−−でも。でも、お前のいない世界はお前のいる世界とはきっと少しだけ違う」
カナギ「オペラ・グローリア―讃えよ神なき栄光を (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ・角川ビーンズ文庫)p46より
「カナギ、君、この三人の中で自分は比較的『一般人』だと思っているでしょう?」
ソラ「オペラ・メモーリア―祝祭の思い出 (角川ビーンズ文庫)」(栗原ちひろ・角川ビーンズ文庫)p223より
- 「死神のキョウ (一迅社文庫)」いきなり現れた「死神」の女の子は、ぼくのことをぼこぼこにしながらも、「守る」と言うが……。「ドクロちゃん」ぽい設定だな〜と思って読んでいましたが、うわ〜こんな展開か〜。これはハズレでした。残念。
- 「θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)」「鏡色の門」によりワープのようなことができるようになった世界。東京駅11番ホームは空中にあった。11番ホームの駅員である少女は、相棒の狼と共に今日も駅を守っている。彼女には、「鏡色の門」に関係した大きな秘密があって……。とちゅうまでは、そのハートウォーミングさにちょっとひきぎみだったが、最後まで読むとなかなか面白かった。SF、というよりはサイバーな感じか。AIのアリスへの指示の出し方、危機回避方法のひねりだしかたが粋だった。少女に起こった出来事は過酷だったが、そこからすくい上げ方はなかなか納得がいった。
Good Luck
『それじゃっ……すぐ後にっ。T.B. 幸運を』
I'll never give up
「引き寄せます、ミス西晒湖」
西晒湖涼子とT.B.「θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)」(籐真千歳・電撃文庫)