おすすめ単巻読み切りコミック・新書サイズ版
おすすめ単巻読み切りコミックの新書版です。
「複数巻に渡ったシリーズものでない」「新書サイズ」「絶版も含む」という縛りの上で、自分の趣味フルスロットルです。
基本的に新書サイズのコミックスは、白泉社花とゆめコミックスしか持っていません。少年マンガに至っては、単巻は一冊も所有しておりません。買ったこともないかも。無印と比較して、入手困難本も多し。(多分緑川ゆきと岩本ナオ以外は全て絶版)
後記・teatreeさん版が公開されました。少年マンガもありな、こちらも魅力的なリストです。
・「裸足めぐり」(望月花梨・白泉社花とゆめコミックス)
両親を亡くした姉妹の家には、不思議な気配があった。しかし、この話はそれがメインではなく、どこにでもいそうな中学生の日常的な感情をきちんと描いているところが好きです。
無印版のトップは紺野キタさんでした。それに対する対抗馬としてはやはり望月花梨さんかと。中学生女子を描かせたら天下一品な方です。綺麗なだけではない、残酷だったりするところも余さず描ききるところが素晴らしいです。このコミックスは初心者におすすめ。
・「Yesterday, yes a day」(岩本ナオ・小学館フラワーコミックス)
田舎町に幼馴染の男の子が帰ってきた、となれば普通は恋愛モードに入るはずが、全く入らないところが岩本ナオさん。素晴らしいです(笑)。この空気感は、他にいないです。ぜひ味わってみてください。「町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)」もおすすめ。
・「星物語 月夜の赤ずきん」(上田美和・講談社コミックスフレンド)
うぷ。Amazonのデータが間違ってる……正しいタイトルはこちらです。
今はヒット作も出している上田美和さんの初期短編集。四作収録していて、そのうち三作が「星物語」という星をテーマにした作品になっている。うち一作はなんとフレンドなのに異世界沙漠もの。それもなかなか世界観がとてもできていていいんだけど、私が一番好きなのはシリーズ外の「ミドリの砂時計」。心臓が弱いけれど普通の女子高生として生きようとしている少女が、片思いの相手と結ばれる、という話だが、なぜかこの話がとてつもなく好き。主人公が自分をかわいそうがったりは、かけらもしないところが好きな要因なんだろうと思う。
「宇津木さんのために なにかしたいんだ
宇津木さんのためなら なんでもしてあげる…」
井上「星物語 月夜の赤ずきん」(上田美和・講談社コミックスフレンド)「ミドリの砂時計」p214より
・「蛍火の杜へ」(緑川ゆき・白泉社花とゆめコミックス)
表題作は、人間に触れると消えてしまう妖怪と、女の子の「ふれあい」の話。震えがくるほどよかったです。この1シーンのために!というところがあります。
・「地球の王様」(喜多尚江・白泉社花とゆめコミックス)
とてつもなく美少年の幼馴染、鳥彦がいるために、好きな人もできないひなた。悪魔の魔力の奪い合いにまきこまれた彼女たち。彼らはその魔力を手に入れたら、何に使うのか?
ツンデレひなたと、どう見てもひなたにべたぼれな鳥彦の組み合わせがとてつもなく好き。自分内のラブコメランキングトップかも。
「…ふん? 男ってロマンチストだね バカじゃないの?」
「そーだよ 女の人は知らないんだよね バカでロマンチストだよ」
ひなたと鳥彦「地球の王様」(喜多尚江・白泉社花とゆめコミックス)p85-86より
・「薔薇科少年」(岡野史佳・白泉社花とゆめコミックス)
SF短編集。目がでかいいかにも少女マンガな絵柄ですが、SFマインドがある作品が揃っています。特に表題作の誘惑感がたまらんのです。
・「砂礫王国」(由貴香織里・白泉社花とゆめコミックス)
由貴香織里の初期短編はものすごくいいのが多いので、一冊は入れたかった。
このコミックスに収録された「ストーンヘンジ」が私は大好きなのです。異世界?からストーンヘンジを経由して現代世界に現れた少女が、親のかたきと戦う、という話なのですが、流血、複雑な感情を持つ美少年、強い少女、と由貴香織里さんの要素がつまった作品かと。この時代の短編としては、「忘れられたジュリエット (花とゆめCOMICS―伯爵カインシリーズ)」に収録された「時間をとめた少年たち」「ダブル」がほんとは一番おすすめですので、気に入られたらこちらも。こちらは推理ものの要素がコンパクトにまとまっていて読み応えアリ。