おすすめ町人もの
私が時代ものを読むようになったのはこの数年ですが、最近面白い町人ものを読んだので、おすすめさせていただきます。だいたい、女性が作者&女性主人公のものが多い気がします。
条件としてはこんな感じで。
・江戸時代の都市が舞台。(農村ではない)
・基本的に戦闘シーンがなく、捕り物でもない。
・主人公が金が余っている生活をしていない。
・人情があふれすぎていない。
・恋愛どろどろではない。
・ファンタジー要素なし。
・基本的には歴史的重大人物が登場しない。
葉月あきさんが書かれた「ライトノベル読者にオススメしてみたい歴史・時代小説。」という記事に合わせて書いた、というわけではなく、単なる偶然なのですが、よろしければ葉月さんの記事のおともにどうぞ。
追記・id:teatreeさんが「ライトノベル読みにもお薦めな時代もの! 」という記事を書いてくれました!池波正太郎さんとか、時代もの大御所は読んだことなかったので、とっつきやすい本を押してもらえてうれしい!チェック本が増える〜。
江戸時代、鷹匠などの鳥を司る役目、「お鳥見」の娘であり女房であり母である珠世さんの日常生活。私が町人ものの素晴らしさに目覚めたのは、この作品が最初です(細かく言うと、町人ではないんだけど、金には困っているぐらいの身分)。「お鳥見」が密偵の役割も持っているがためのイベントとかも初期はあったりもしたのですが、この話のよいところはなんといっても、常にどんと構えているあたたかいお母さんの珠世さん。もう、ああっ珠世さまっというぐらい素晴らしくチャーミングで素敵な方です。どんと構えてはいるけれどきちんと不安に思うこともあるのに、それを表に出さずに隠し持っているところとか……大好きです。普段時代ものを読みつけないかたでもおすすめ。特に主婦の方におすすめです。息子たちの恋愛から結婚までも楽しめます。ツンデレ姫様も出てきます。諸田さんはでは他に、ちょっと色気のある「天女湯おれん (講談社文庫)」もおすすめ。
江戸の町を彩る花の種や苗を商う「なずな屋」を舞台とした話。江戸の花といえば、朝顔か菊、それもかなりいびつなまでに交配を繰り返すものばかりしか読んだことがなかったので、こういう市井の人々も楽しめた花について描かれていたのが新鮮でした。特に最初の二話は完璧に面白かった。
- 「みをつくし料理帖シリーズ」(高田郁・ハルキ文庫時代小説文庫)
上方からやってきた澪は、江戸の「つる屋」という蕎麦屋で料理人として働いている。澪の料理は江戸になじむことができるのか?上方からきた料理人、という視点なので、「江戸の人たち」を他人して見ることができて、それが読者の視点と合わさっていくのが面白かった。そしてまた澪さんの料理がうまそうなこと!「とろとろ茶碗蒸し」とかたまんねーよ!脇もいい味のある人たちが固めていてよかったー。
江戸時代に大阪の街で夜間学校のような寺子屋をやっている三姉妹のお話。一部ミステリ・捕物っぽいところもあるけれど、日常部分で、三姉妹がそれぞれに欠点があるところがよかった。
- 「烏金」(西條奈加・光文社)
江戸の因業金貸し婆の元をふらりと訪れた一人の青年。彼は返済にあえぐ人々を手助けし、返済を楽にさせて客を増やしていく。彼の狙いはなんなのか?江戸の金貸し、ということについてよく調べてあって、かつ物語も小さくまとまっていてよかった。続編として「はむ・はたる」が出ました。