なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

海外ロマンス文庫レーベル別おすすめ

 ここでいう「海外ロマンス」とは、いわゆる、Hありの大人の女性向け恋愛小説のことです。私はヴィクトリア朝より少し前の英国の貴族の子女が中心のいわゆる「リージェンシーもの」をよく読んでいますが、他にジャンルとしては、アメリカの時代もの、海賊もの、現代もの(サスペンス、ファンタジー要素あり)など様々あります。
 激しいものは「ホット」と表現するのがこのジャンルの特有なものらしいのですが、私はあまりホットなものは好みではなく、あまりしつこく書かれるとうっとうしい……とか思ったり。基本的には、恋愛だけではなく、周りの状況や人を巻き込んでいく感じの物語や、感情の動きが伝わってくる物語、あとは男がひたすら振り回されるコメディが好きです。
 ハーレクイン社のペーパーバックの作品もいくつか読んでみたのですが、どれもぐっとくるまでは感じられなかった……合わないのかなあ。「恋愛だけ」に生きている感じがだめなのかも。
 そんな私の偏りまくりの文庫レーベル別のおすすめです。広い心で見ていただければー。

「騎士から逃げた花嫁」(リン・カーランド・旦紀子訳・竹書房ラズベリーブックス)
わたしの黒い騎士 (ラズベリーブックス)
 フランス貴族の娘、エレオノールは恐ろしい噂の騎士、コリンに嫁がされることに拒否し、男装して逃亡。隣の領地の娘シビルの世話をする仕事を得て、二年が過ぎた。しかし、シビルの婚約者はあのコリンだった!「わたしの黒い騎士 (ラズベリーブックス)」の続編。恋を知らない男子のボケが楽しいラブコメ朝チュンです。

「コリン」エレが笑った。「あなた、頬がへこむわ」
 喜びは、来た場所にさっさと消え失せた。「そんなことはありえない」かたくなに言う。
わたしの黒い騎士 (ラズベリーブックス)」(リン・カーランド・旦紀子訳・竹書房ラズベリーブックス)p485より

「愛のかけらは菫色」(ローラ・リー・ガーク・旦紀子訳・竹書房ラズベリーブックス*1
愛のかけらは菫色 (ラズベリーブックス)
 遺跡の発掘現場でもある公爵邸で身を粉にして働いていたダフネは、公爵に憧れをよせていた。しかし、彼がダフネのことを「ナナフシ」と例えたことに怒り、逆切れ。辞めると宣言するが、ひきとめられて……。ダフネは肉感的な肉体をぶかっこうな服装の中に隠しているという設定で、それ見たときから(肉体からからかいっ(笑))公爵はもうめろめろでやんす。男がメロメロなさまが好きであれば、たまらないかと。

「あの娘は小枝にとまっているナナフシのように目立たない。背景の一部と同じだ」
愛のかけらは菫色 (ラズベリーブックス)」(ローラ・リー・ガーク・旦紀子訳・竹書房ラズベリーブックス)p55より

「まだ見ぬあなたは海を越えて」(アン・グレイシー・杉浦よしこ訳・ぶんか社フローラブックス)
まだ見ぬあなたは海を越えて (フローラブックス)
 デビル・ライダースシリーズ第三弾(といってもほぼシリーズ関係ないのでこれから読むアリ)。遠くエジプトの地で育ったらしい祖母の友人の孫娘を探しに、はるばる英国から訪れたレイフ。彼女の肖像画のみ手がかりに探していると、怪しげな少年を見つけた。その少年は、実はその孫娘本人だった!?舞台がいろいろ変わるだけでなく、波乱のドラマの中のラブコメが面白かったです。

「結婚は常に賭なのよ。実際に始めてみるまでは何があるかわからない。ただ目をつぶってお祈りし、飛びこむしかないの。そして自分が幸せになるように最善を尽くす」
ライラ「まだ見ぬあなたは海を越えて (フローラブックス)」(アン・グレイシー・杉浦よしこ訳・ぶんか社フローラブックス)p218より

「ふたたび、恋が訪れて」(カーラ・ケリー・松本都訳・幻冬舎ラベンダーブックス)
ふたたび、恋が訪れて (ラベンダーブックス)
 二人の娘を持つ未亡人は、侯爵の領地の片隅に小さな家を見つけた。亡くなった夫の兄から逃げるため、その家を借りたのだが、侯爵が訪れて……。何よりも二人の娘が愛らし&いじらしすぎてたまらんかったです。気持ちの変化のリアリティもすばらしい。「都合のよい物語」で終わらない物語だと感じさせてくれました。

「夜明けの色を紡いで」(リサ・クレイパス・平林祥訳・原書房ライムブックス)
夜明けの色を紡いで (ライムブックス)
 ロマの孤児であったケヴは壮絶な育ちだったが、ハサウェイ家に引き取られ、ウィンと出会ってからは、彼女とその家族を守ることに命をかけてきた。ウィンとケヴはお互いひかれあっていたが、ウィンは治療のためフランスに渡ることに。ヒーローのケヴの献身的な姿勢が、ロマンス読者にはたまらないのではー。

「理想の妻のたくらみは」(エリザベス・ボイル・寺尾まち子訳・宙出版オーロラブックス*2
理想の妻のたくらみは (オーロラブックス)
 結婚したくないがために、架空の妻をこしらえたアレックス。しかし、いきなりその「妻」が現れ、屋敷にすみついてしまった。彼女は詐欺師?それとも……。ストーリーや感情がとても私の好きな感じで、どストライクでした。ヒーローのアレックスが放蕩者ではなくて、すごく「つまらない男」扱いされているのが、面白く感じた一因だと思います。

「ただ会いたくて」(メアリ・バログ・山本やよい訳・ヴィレッジブックス)
ただ会いたくて (ヴィレッジブックス)
 女なら誰にでも(年寄りにも)優しいと評判のウィットリーフ子爵が出会った美女は、女学校の教師。不幸な身の上の彼女と「親友」になろうともちかけるが、彼女の休暇の終わりには、二人は……。シリーズ三巻目ですが、これからでもOK。白眉は、ヒーローが「放蕩者」でないこと!もてるのはもてるのですが、それはヒーローがフェミニストだから。あらすじよりも、大人の女性が生きていく&伴侶を見つける物語としておすすめです。ヒーローがそれに応えるべく、自分を変えていくのがまた心地良い。

「愛してないと言ってくれ」
ピーター「ただ会いたくて (ヴィレッジブックス)」(メアリ・バログ・山本やよい訳・ヴィレッジブックス)p487より

「理想の花嫁」(サマンサ・ジェイムズ・山本やよい訳・ソフトバンククリエイティブソフトバンク文庫)
理想の花嫁 (ソフトバンク文庫)
 ロンドンの貧民街で暮らすデヴォンは、襲われて倒れているところを侯爵に助けられた。彼の屋敷で暮らすうち、ふたりはひかれ合うが、その身分の差は絶望的で……。ヒーローがプライドばかりのダメ男ではなく、そんなに積極的でもないいい人で、はねっかえりなところもあるデヴォンをこよなく愛し、でも欲望に身を焦がしながらも我慢するのが笑えてしかたがなかった。

 自分が幸せになれることをしたい。
理想の花嫁 (ソフトバンク文庫)」(サマンサ・ジェイムズ・松井里弥訳・ソフトバンク文庫)p404より

「愛を刻んでほしい」(ロレイン・ヒース・栗原百代訳・二見文庫ザ・ミステリ・コレクション*3
愛を刻んでほしい (二見文庫 ヒ 1-1 ザ・ミステリ・コレクション)
 1866年のテキサス。南北戦争で戦うことを拒否した青年、クレイは帰ってきて弟たちと暮らしていたが、周囲の人間は彼を臆病者とののしり、憎んでいた。夫を戦争で失ったメグは、クレイに罰を与えるため、彼に戦没者の石像をつくらせることにした。登場人物それぞれのやりばのない憎しみや愛情がよく伝わってきます。ちなみに、クレイは経験なしでメグは未亡人。こーゆー組み合わせも珍しくて面白かった。

「あなたがクレイと結婚するのは、どうしても無理だもの。もし結婚したら、クレイはあなたにときどきキスしたくなるよ。ぼくらは好きな人とでも、キスって気持ち悪いと思うんだ。憎んでる人とキスするなんて、ものすごくいやでしょ」
愛を刻んでほしい (二見文庫 ヒ 1-1 ザ・ミステリ・コレクション)」(ロレイン・ヒース・栗原百代訳・二見文庫ザ・ミステリコレクション)p256より

「ハウスメイトの心得」(ノーラ・ロバーツ・入江真奈訳・ハーレクイン社MIRA文庫*4
ハウスメイトの心得 (MIRA文庫)
 現代もの。作家志望の女性が従兄から借りた家に家主が帰ったきた。やむをえず、同居することになった二人だが、家主は彼女に振り回されてばかり……?ヒロインがかなりしたたかだけど(性格が)いやらしくないところがとても魅力的でした。

「男性のなかにはほかの人よりも強く押さないとだめな人もいるの。ネイサンには両手を使った方がいいわ」
ハウスメイトの心得 (MIRA文庫)」(ノーラ・ロバーツ・入江真奈訳・ハーレクイン社MIRA文庫)p148より

*1:このレーベルわたし一番気に入ってしまったので、二つ紹介させていただきます……(^^;。

*2:廃刊してしまったようです。(^^;)が、Amazonなどに在庫があるところもあるみたい

*3:ミステリ・サスペンス要素の入った作品が多い

*4:わたしはどうもハーレクイン社の作品があまり合わないようなのですが、MIRA文庫はやや読みやすいものもありました