2011年度に私が読んだ新人小説ベスト3
・「わたしと男子と思春期妄想の彼女たち」(やのゆい・エンターブレインファミ通文庫)
男子諸君の「妄想している彼女」が見えるようになってしまった中学生女子、あすみが主人公のラブコメ……というには、恋未満なところも多いあすみが可愛らしいコメディ。あすみはめっちゃお人好しというよりは、自分の周囲にいるひとを、限りなく愛してしまうため、妄想彼女たちや女子までも大好きで、女子たちもそれにどきっとしてしまうというところがどうしようもなく私好み。
・「幽霊伯爵の花嫁シリーズ」(宮野美嘉・小学館ルルル文庫)
「幽霊伯爵」の元へ17人目の花嫁になることになったサアラ。一見、美貌を堂々と自慢する鼻持ちならない娘だったが、彼女は相当の変わり者で……。とことん正直なんだけど、自分自身についてはかなり正直でない、少女小説の主人公らしからぬ「天然さ」も持ち合わせていないヒロイン、サアラがとても面白く読めました。一筋縄ではいかないキャラを読みたいなら、おすすめです。
「簡単な理由ですわよ。私があなたに近付こうとするのは、私があなたを全く好きではないからですわ」
サアラ「幽霊伯爵の花嫁 (ルルル文庫)」(宮野美嘉・小学館ルルル文庫)p124より
・「返り忠兵衛江戸見聞シリーズ」(芝村凉也・双葉文庫)
兄が殺され、一人江戸へ逃げのびた中兵衛。江戸の長屋に隠れ住まうはずが、江戸中の注目を浴びる人物になってしまう!最初は、えー、そんな陰謀もの〜とか思っていたのだが、読み進めてよかったー。実は江戸の庶民がメインで、彼らを味方につけた中兵衛さんの、意識しない無双っぷりがライトノベルばりで面白い。新人さんだけど達者です!
なぜこのシリーズが面白いかというと、忠兵衛の底が誰にもわからないことだと思います。先が見えない面白さが待っている。これからも先が楽しみです。