なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2012年度に私が読んだ新人小説ベスト3

「おこぼれ姫と円卓の騎士シリーズ」(石田リンネ・エンターブレインビーズログ文庫
おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 女王の条件 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 将軍の憂鬱 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)
 二人の兄王子たちの争いの激化から、こぼれ落ちてきた王位を手に入れたと思われているレティーツィア王女の女王への道。ある事情から自分が「王」になることを知っていたレティ。王だから、そして「自分がいつか死ぬ」ことを知っているから、「後の時代に生きる人」の想いを知っているからこそ、できること、できないことがある。その「高い視点」が常を生きる我々にはないものであるからこそ、物語で読むとその快感はたまりません。ラブはほぼないですが、政治の世界に生きるレティの孤独で、思いを支える人たちを思いやる態度が綺麗で読んでいて楽しいです。おすすめ。

「王の立つ場所は誰よりも高い。だから誰よりも遠くを見ることができる。己の時代に意味はなくても、後の王の時代に必ず意味があると、王が言わずして誰が言うのかな?」
おこぼれ姫と円卓の騎士 少年の選択 (ビーズログ文庫)」(石田リンネ・角川ビーンズ文庫)p51より

「烏に単は似合わない」(阿部智里・文藝春秋
烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1
 宗家当主の后を決定するため、四家のそれぞれが候補を出し、選抜するため桜花宮に集められた。それぞれの欲望と失ったもの、争いが水面下では起こっていたが……。和ファンタジー設定のミステリ。とちゅうまでは、異世界もの?ひとでないもの?と思って読んでいたら、ここまでミステリだとは!女同士の争いではあるのですが、ドロドロ方向ではなかったので私にも面白かったです。異世界ものですが、設定的には大正時代ぐらいな雰囲気。ある人の印象ががらっとかわるのが戦慄でした。

「鈴の神さま」(知野みさき・ポプラ社
ASIN:4591130053
 山の上に住んでいる、昔の言葉の幼子。彼の正体は……?これは女子はものすごくつぼにくるかと存じます。緑川ゆきさんが好きな人とかにおすすめ。ひとではないものなのかどうなのか、とびくびくと付き合っていくうちに、そんなことよりも彼の魅力にやられていくさまが、絶品です。おすすめ!