なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2012年度に私が読んだ時代小説ベスト5

「ぬけまいる」(朝井まかて講談社 
ぬけまいる
 若い頃は三人小町だった仲良し三人組。もう二十代も後半で、二人は結婚もしてこどももいるけれど、三人ともどこか不満を抱えていた。思いつきで言った「抜け参り」に三人で行くことになって……。それぞれ全く違う個性の持ち主で魅力的で、珍道中が楽しい!朝井まかてさんの作品で二番目に好きな作品になりました。ラブあり、老人あり、仕返しあり、金稼ぎあり。楽しいわ〜。現代ものしか読まない方にも読みやすい作品だと思います。

「朱龍哭く 弁天観音よろず始末記」(西條奈加講談社 
朱龍哭く 弁天観音よろず始末記
 武家庶子という身分でありながら、踊りの師匠として身を立てているお蝶。兄の嫁である「お姉さま」と事件が起これば解決に向かう!女二人が活躍するミステリってあんまりないので面白かったです。お姉さまがとことんかっこいい!続編お待ちしております。

「公儀鬼役御膳帳シリーズ」(完結)(六道慧・徳間文庫) 
公儀鬼役御膳帳 (徳間文庫)連理の枝―公儀鬼役御膳帳 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 春疾風 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 ゆずり葉 (徳間文庫)公儀鬼役御膳帳 外待雨 (徳間文庫)
 食に関する公儀隠密の家柄である主人公は、庶子である生まれから肩身の狭い思いをして育ったが、いまさら父親から跡継ぎのような扱いをされたり、町民として暮らせと言われたり、混乱する、というシリーズ。いろいろな身分や顔や名前を使い分けたりしつつ、かつ隠密の話やら町民としての仕事やらが回ったり、さらにお家騒動があったりと、読んでいるこちらもどれがどれやらな気分になりつつもどれも面白くて引き込まれたまま終わりました。
 隠密話ですが、町民の話も入っているので、そこまでお勤めお勤め!って感じでもなく、かっこいい登場人物も、にやりとさせてくれる親友もいたりして。主人公はちょっとスーパーな能力持ちですが、ひねくれているのでそこがまたよし。

漢方医・有安 夕凪」(秋山香乃・朝日新聞出版朝日文庫 
漢方医・有安 夕凪 (朝日文庫)
 町医者の有安先生が主人公のミステリ。ミステリとしてもよくできていると思います。町人ものとしておすすめ。

「いまはむかし」(安澄加奈・ポプラ社 
いまはむかし
 物語りを得意とする弥吹と、幼馴染の朝香は、二人の汚らしいみなりの少年と出会った。かつて月から降り立った「かぐや姫」を守る月守の一族だという彼らは、かぐや姫にまつわる秘宝を追っていた。村を滅ぼされた彼らの目的は……。「勾玉三部作」のような、古代日本が舞台の少女小説。語り手が若手ではないのが、少し目線が変わっていてよかったと思います。これは期待の新人だ〜。

「不思議なことに……そんなきれいごとをおれが語ると、みんなそれに心を傾けてくれるんだ。口ではうまくいかないとか、ありえないことだとか言っても、結局はみんなそういうものに惹かれるんだ。憧れるんだ。おれき語るたびに、それが確信できて、うれしくなるんだよ」
弥吹「いまはむかし」(安澄加奈・ポプラ社)p225より