2013年度に私が読んだ新人小説ベスト3
・「図書館の魔女」(上下)(高田大介・講談社)
今年は「新人さん」から始まるのは、なぜかというと、この作品が今年のベスト1だったからです。
異世界ものではありますが、ファンタジー要素はほぼなし。政治の話でもありますが、何もわからないキリヒト視点からなので読者も楽しめます。物語は次から次へと苦難や冒険がやってきたり、淡い気持ちにニヤニヤしたり。あらすじで語れない「愉しさ」がたまらない作品でした。長い物語でしたが、最後まで楽しめました。ファンタジー読みに特におすすめです。
蓋し、図書館の魔女にとっては、そこに無い文字、そこに無い言葉すらが、何よりも雄弁に一つの物語を紡ぎ出すことになる。
「図書館の魔女(下)」(高田大介・講談社)p381より
・「乙女ゲーム世界で主人公相手にスパイをやっています」1〜2巻(香月みと・アルファポリス)
いきなり「俺、乙女ゲーの攻略対象なんだ」と従兄に言われた主人公が、モブの一員として攻略を見守ろう……としたら、自分もヒロインぽくなってない!?というストーリー。主人公は乙女ゲーの記憶はなく、攻略対象である従兄が記憶を持っている、という状態で、まーぼちぼちスパイでもやろうかね〜というゆるい立場なのがポイントです。ぜんぜん「イケメンに囲まれてキャッキャ」という感じではなく、あーなんかやっとるね〜と観察している感じ。文章もオンライン小説以外を読みなれた人にも読みやすいと思いますので、おすすめです。
『ターゲット一階』
『了解。俺は駐車場に向かう』
「乙女ゲーム世界で主人公相手にスパイをやっています」(香月みと・アルファポリス)p132より
「今は振り向くなよ」
「乙女ゲーム世界で主人公相手にスパイをやっています〈2〉」(香月みと・アルファポリス)p213より
・「賢者の失敗」(小声奏・アルファポリスレジーナブックス)
本当は25歳だけれど、異世界で身元を疑われて、つい13歳だと言ってしまった。王宮でほぼ監禁状態だったが、なんとか街へ監視付お出かけができるようになったが……。レジーナブックスの中ではかなり面白かった。よいラブコメ具合です。主人公が非常に冷静なキャラなのも楽しかった。続編お待ちしてます。