2016年新人小説ベスト5
今年は五つで……!これでも減らしたんだ……!
・「犬恋花伝 ―青銀の花犬は誓約を恋う―」(瑚池ことり集英社コバルト文庫)
狼の姿の人間の姿にもなれる「花犬」とともに生きるニンゲンの種族の少女が、相棒の死からどうするか、というお話。いきなり死んでいるところから始まるけれど、そういうことも人生にはあるよな……と思いました。新人さんだけどベテランのような風格だ……内容も面白く、しっとりしていて楽しく読めました。ぜひとも続刊を!
・「花冠の王国の花嫌い姫シリーズ」(長月遥・エンターブレインビーズログ文庫)
花で有名な豊かな大国の姫として生まれたが、花粉症のため辛いひきこもり生活を強いられてきた姫。北の小国に嫁ぎたい!と猛アピールしていたが、受け入れられてもそれはそれで怪しいよね……?政治的な外交のバランスや王としての考え方など、王家らしいものの考え方、ふるまいが面白く読めました。
・「ハーシェリクシリーズ」(楠のびる・双葉社Mノベルス)
アラフォー目の前で死亡、異世界の第七王子に転生したけれど、特に魔力も武力もフツーにしかなりそうにない。であれば知力(とカリスマ)でなんとかするしか!というシリーズ、書籍デビューこのシリーズは文章がしっかりしているので読みやすく、展開にも無理がなくて楽しく読めます。転生ネタはきにせず、幼児の王子がばっさばっさと解決していくさまを楽しむがよい!
・「最果てのパラディン」1〜3(上下)(柳野かなた・オーバーラップ文庫)
一応転生ものですが、異世界ファンタジーとして皮肉もききつつなところが楽しくて、とても面白かった。装丁もすてき。少年らしく燃えるところもあり、家族の愛情あり。友情あり。英雄として活躍しちゃう主人公ですが、常に真摯であるところが好きです。
・「ふあゆ」(今慈ムジナ・小学館ガガガ文庫)
人の顔を認識できない病の主人公が、貝やら動物やらの頭にしか思えない人々とニヤニヤしながら暮らしているところにまぎれこんだ怪異。「人の顔を認識できない病」がキーとなっているところが最後まで楽しめました。ストーリーはかなりダークでスプラッタなので、そーゆーのが大丈夫な人におすすめです。