なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2018年に私が読んだ小説ベスト10

活版印刷日月堂シリーズ」(ほしおさなえポプラ社ポプラ文庫)(完結) 
([ほ]4-2)活版印刷三日月堂: 海からの手紙 (ポプラ文庫)([ほ]4-3)活版印刷三日月堂 庭のアルバム (ポプラ文庫)活版印刷三日月堂 雲の日記帳 (ポプラ文庫)
 活版印刷所を一人で営む弓子さんのもとを訪れる、様々なひとびと。三巻の死と生きていく人のお話が一番ぐぐっときた。印刷業界の人だけではなく、いろいろな仕事をしていく上で、生きていく上で、私自身ももう人生の半分を過ぎて、死に向かっている。でも、だれでも死なない人なんていないから、死に向かっているというのは若くても変わらない。そんな中、何を残していくか、何も残さなくても何をしていくか、は自分が決めていくんだなあと思いました。
 私は、どんな立場のひとでも、幸せだけでぼんやりすごしているとは思っていなくて、幸せなロマンス小説の主人公でも、なんかあるだろうなあといつも思っています。この物語の、それぞれの人がそれぞれの立場で悩み、ものを考えているんだというところが好きです。

テーラー伊三郎」(川瀬七緒角川書店 
テーラー伊三郎
 川瀬七緒さんがテーラーって……と思っていたら、予想をぎゅんぎゅんふりきっていった(笑)。「アクアマリン」というとっぴょうしもない名前をつけられて、母親にR指定マンガを描く手伝いをさせられている高校生が、通学路でみてしまった「コルセット」。時代考証もしっかりとしたその品に、彼はすっかり魅せられしまったが、壁はいろいろと高くて……。また伊三郎さんがロックで革命的で、くそ面白い。お年寄りも若者も楽しげにしているがたまらなく楽しく読めました。おすすめ。マンガか映画化してほしい。

腐男子先生!!!!!」2巻(瀧ことは・ビーズログ文庫アリス) 
腐男子先生!!!!!2 (ビーズログ文庫アリス)
 三年生に進学して、後輩ちゃんやら先生との関係に気づいた同級生やらでてきて……という展開。二巻、おめっでとー!!間が空くと次の巻が出ないものなので、ほんとよかった。マンガがヒットしたおかげだろうなあ。でも、原作も面白いよ!先生のダメっぷりもほんと楽しい。朱葉ちゃんかわゆい。腐ものの何が楽しいって、信念があるけれど、それは自分の弱みでもあって、他人から攻撃されることについて知っているところが好きなのです。

「隣の席の佐藤さん」(森崎緩・一二三書房一二三文庫) 
隣の席の佐藤さん (一二三文庫)
 山口くんは、隣の席のとにかく要領がよくない佐藤さんにいらいらしつつ、ついつい見てしまう。個人サイトで読んでからずっと好きだった作品。何をやってもうまくいかないけれど、気持ちはとってもやさしくて、いつもにこにこしている佐藤さんと、そんな彼女を次第にまぶしく思ってしまう山口さんがほほえましい。もっとらぶらぶな二人も見たいのだ〜。
 実写版PVがおすすめです。
http://www.hifumi.co.jp/books/info/tonari_sekino_satosan_sp.html

ぬばたまおろち、しらたまおろちシリーズ(白鷺あおい・創元推理文庫 
ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)人魚と十六夜の魔法 (ぬばたまおろち、しらたまおろち) (創元推理文庫)
 ただひとりの友達だけに心を開いていた孤独な少女が、隠された学園で成長していく姿を描いた作品。「RDG」が好きなひとは面白いでしょう!とても面白かった。このあたりを読んでいる人には思い出のある作品がいろいろと出てくるし、YA妖怪などなどありの学園ものを総なめしてるでしょ、作者!とおもうくらいの内容詰め詰め。
 表紙がすべてをあらわしています。作品としては、もっとできるところもあるような気もするけど、これデビュー作だから、この先に期待です。

「異人街シネマの料理人」4巻(嬉野君新書館ウィングス・ノヴェル)(完結)
異人街シネマの料理人(4) (ウィングス・ノヴェル)
 シリーズ最終巻。異人街シネマという映画館を守るため、家族と過ごす時間を守るため、どんどん強くなる桃。最高潮キター!!したたかで強い女の子が好きな方にはおすすめ。ラストのほうは、世界をまたにかける兄弟喧嘩なところも楽しい。


「翼の帰る処 番外編 ―君に捧ぐ、花の冠―」(妹尾ゆふ子幻冬舎コミックス 
翼の帰る処 番外編 ―君に捧ぐ、花の冠―
 シリーズの短編&中編集。この一冊は、やはり皇妹様の威光がものすごい。まぶしい。皇妹様は今までにないキャラクターだ。ヤエトは負けてないけど、皇女は負けてる気がする(笑)。この威光は、とても「語り手」になってからといって少なくなるものではございません。

「魔術師ペンリック」(ロイス・マクマスター・ビジョルド・鍛治靖子訳・創元推理文庫
魔術師ペンリック (創元推理文庫)
 「五神教シリーズ」の一冊ですが、特に他の巻とそんなに関係なので、単独でOK。他の巻とは違い、割と楽観的な主人公、ペンリックは出会ったご婦人から「あるもの」を受け取ってしまう。そこから、ペンリックの人生は大きな転換を……。
 ビジョルド異世界ファンタジーは、都合のいいように展開しなくて、ミステリ要素もあってほんと好き。二分冊の一冊なようなので、続編も出してほしい。ペンリックとご婦人、デスのやりとりがものすごく楽しかった。鍛治靖子さんの訳すファンタジーは当たりが多い。

貧乏お嬢さまシリーズ(リース・ボウエン・田辺千幸訳・原書房コージーブックスス) 
貧乏お嬢さま、ハリウッドへ (コージーブックス)貧乏お嬢さまと時計塔の幽霊 (コージーブックス)
 王家の一員なのに、一文無しのジョージィ。働く気はあるのに、職種によっては親戚に文句を言われてしまう、という状況の中で、恋人と結婚できるのか?
 いろいろな場所に行くことになってしまうジョージィですが、なんとなくセレブな暮らしを送ったり、物質面ではかなり豊かなときも心配事が庶民的。おじいちゃんが一番ジョージィの基礎を作っているんだなあと思いまました。

「10日暮らし、特濃シンガポール」(森井ユカ・晶文社 
10日暮らし、特濃シンガポール
 スーパーマーケットで買えるような雑貨マニアの森井ユカさんによる、年末年始の一人シンガポール暮らし。旅の準備から帰ってくるまでが旅です。森井ユカさんの好きなものが、とにかく私はまる。団地とか現地の人が好きな食べ物とか。たまにずーっとホテルにいるような旅行がいい。こういう旅行記また読みたいなー。