なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet」転校生の海野藻屑は、とても可愛いけれど変なことばかり言っている。彼女に興味を示さなかった山田なぎさは、なぜか藻屑に友達になれと言われる。なぎさは、美しいけれどひきこもりの兄を抱えていたのに、藻屑にまでつきまとわれて、いらいらがつのっていく。彼女が、殺されることになるなんて知らないで。いや、すごかった。タイトルと富士見ミステリー文庫の表紙を見て、んー、読むの後でいいかな……と控えていたのだが、これはその後の、直木賞作家桜庭一樹の原型だなあと納得しました。最初こそ、一般的な中学生の日常が描かれていくけれど、後半はすごかった。作者はあとがきでこの物語はあるときに降ってきたというように語っているのだが、こういうのが、降ってくるだけの土壌が、きちんと桜庭さんにはあったんだろうなあ、と思う。美しくて醜悪なもの、臭くて汚れないもの、そんな価値観では量れないもの。そんなものが世界には満ち溢れている、その世界を味あわないでなんとする、という読後感でした。よいものを読みました。おすすめです。つか、これを富士見ミステリー文庫で出した当時、よく見つけたよ!すごいよ!見つけた人。富士見ミステリー文庫もよく出した。感服する。