なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)」陸地の大半が水没した25世紀。日本政府の外交官・青澄をサポートする「ぼく」の視点から物語は始まる。上田早夕里さんのSFは、ハードボイルドだけど、女性の書いたハードボイルドな感じ(たぶん、マッチョではないということだと思う)で抵抗感なく読める。今回は、小川一水さんっぽいプロジェクトXのようなところもあり、アクションありの外交官アドベンチャーでした。自分が何かをつくるわけではなく、ひととひとの交渉を手助けし、両方に利益を与えるように、面子をつぶさないように尽力するという仕事を冷静に、そして中は熱血した血で行う青澄がかっこいー!それを見ているだけの「ぼく」の視点なのが、また物語を楽しませる一因だと思います。設定がものすごく用語が多くて、なかなか飲み込みにくいところがあるかもしれませんが、面白かったです。この後の物語が他の作品につながってたりするのかなあ。「ゼウスの檻」とか関連ありそう。

≪どうすれば相手の心を動かせるか、どうすれば相手の立場や面子を損なわないまま、快く同意してもらえるか――。落ち着いて考えてごらん。ゴリ押しはだめだよ。あくまでも冷静にな≫
華竜の宮 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)」(上田早夕里・早川書房ハヤカワSFシリーズJコレクション)p340より