読了本

• 「約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)」移民船では長い時が過ぎ、かつては異生物「ベガー」との戦いも経て、数少ない生き残りが今を生きている。12歳の少年シンゴと少女テルは、二人とも「ベガー」との共生生活を楽しんでいたが、戦争時代の傷が癒えない大人たちは拒否反応を隠せなかった。そんな状況でも、「ベガー」との共生がなければ、今の僕たちはいきていけないし、何よりも「ベガー」を愛しているぼくらのとった道は……。瀬尾つかささんが、早川文庫から出したYA＋SF。な　に　こ　れ　ち　ょ　ー　面　白　い。何で読んでなかったんだ……というくらい私の好みだった。作者の「クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)」は最初は面白かったんだけど、ラストに向けての展開が（私には）ダメだったんでよなー。こっちはラストまで楽しませてくれそうです。少年と少女の希望と絶望。明るい未来の後ろに隠れた過去と真実。小川一水さんもだけど、「新世界より(上) (講談社文庫)」がかなり雰囲気近いかも。冒険あり、少年少女あり、人外あり、辛い展開あり。かしこい女の子や天然な女の子がせいいっぱい生きているのも好ましい。あー、手をつないでいる姿をみたかったなあ……。でも、こうならなかったら、きっと彼女はああはならなかったんだよね。そういう出会いってありそうだ。SFって、「常識が常識でない世界」をまるっと見せてくれるから好きです。下巻が楽しみです。

「テルはベガーが大好きなんだよね。ずっとベガーと一緒にいたい、それだけなんだよね。でもきっとこれからは、それだけ、が難しくなる。だから、その想いを大事にして。ベガーを守るための強い力が、これからきっと必要になる」
スイレン「約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)」（瀬尾つかさ・早川文庫JA）p172より