読了本
- 「ちどり亭にようこそ ~京都の小さなお弁当屋さん~ (メディアワークス文庫)」京都のお弁当屋さんを手伝っている大学生と、その店主たちのお話。主人公の立ち位置がちゅうとはんぱで、更に説明で語るので、不満感がつのった。そこは描写で説明できないと、ダメじゃないかなあ……。
- 「小やぎのかんむり」夏休みを寺の「サマーステイ」で過ごすと決めた女子中学生。彼女に何が起きたのか?やさしいひとびともいるけれど、それだけではないところが市川朔久子さん。表紙とタイトルはちょっと違うかな……?ふらふらしていても、すっくと立っているところがいいたかったのかも。ただされるがままの「こども」ではなくなっていくところが頼もしいけど、そこは支えていく人も必要だよね。おすすめです。
――まったく、幸せな瞬間がなかったわけではないのだ。
自分は恵まれていた、と思う。ひとつも愛されていなかったとは思わない。
――でも。
だからこそ、いっそう苦しい。
「小やぎのかんむり」(市川朔久子・講談社)p175より
- 「ソウル・コレクター〈上〉 (文春文庫)」「ソウル・コレクター〈下〉 (文春文庫)」各個人の全てのデータが一民間企業のデータベースに入っていて、それを自由に利用して犯罪を行う人がいたら……こ・わ・す・ぎ・る・わ!まんざらないでもないホラー感がすさまじい。ライムたちは「アナログ」な時代から生きているので、「アナログ」な方を得意としているけれど、デジタルの力を借りないでやっていこうと決めているわけではなく、その分野なら専門家に任せようとする立ち位置だった。そこへ、「デジタル情報」をひたすら悪用・改ざんする犯人の登場です。悪用ならまだしも、改ざんってこーわーいー。ラスト近くはもう阿鼻叫喚。でも下っ端は従うしかないし……そうなるだろうなあ……。でも、ふだん犯人を追いつめているライムたちが追いつめられるのもちょっと楽しかった(^^;;