なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 塩の街」人が塩の柱となる奇病が蔓延した世界。海を目指す青年を拾ったのは、可憐な少女だった。しかし、それが少女を悲しみへ突き落とすことになろうなんて、誰も思わなかった。これを電撃がよく大賞とらせたなーというのが実感。話自体はとても有川浩ぽいのですが、とてもライトノベルの王道いく電撃の小説とは思えない。登場人物18歳以外は全員大人、しかもばりばり職業人ばっかりだし。早々とハードバー路線に変えたのは正解。デビューもほんとにそれにすればよかったのにと思いました。大賞とらせたくなかった!と言った担当さんの気持ちがわかる。しかし、有川浩はデビューから自衛隊もの書いてたのか(笑)。すごすぎだよ。話は終わりが少し簡単だなと思った以外は、年上の男性に恋する恋愛ものとして楽しく読めた。同時に設定からもわかるとおり、生きる、生き残っていくこと、死んでいくことについても考えさせられる。おまけの短編四編はそれぞれ面白かった。だが、有川浩は少しキャラクターの幅が狭いかな、と最近思う。ここらでひとつ違うタイプの作品も読みたい。(米澤穂信さんにおいての「インシテミル」みたいな)この路線が売れてしまうとなかなか難しいかもしれないけど。

 ものごとを教えるときの態度について書かれていたことに共感した。この人は、そういうものの見方が、私と似通うところがあって、嬉しくなることがある。

「世界とか、救ってみたくない?」
入江「塩の街」(有川浩メディアワークス)p125より

 これで、有川浩さんの既刊は一応全て読了(雑誌掲載、アンソロジー除く)。私のツボを完全に突く!という作家さんではないのだが、エンタテインメント作品をこころゆくまで読みたいときに適していると思う。まあすぐに新刊がでちゃうんですが……。