なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫ホワイトハート)」貴族の幼い娘、プルーデンスは愛していた祖母を喪い、聡明であるゆえに家族で孤立していた。祖母の故郷、アラニビカ島に家族で向かう途中、港で青い衣をまとった詩人を道連れとするが、彼はどこか怪しげな男で……。アラニビカ島に眠る謎の塔をめぐるミステリ。12歳なんだけど10歳ぐらいに見える、理知的で行動的だけれど、大人なわけではないプルーデンスがとにかく魅力的。表紙イラストが、彼女と詩人の魅力をとてもよくあらわしていると思います。詩人は、こういうストーリーでは虚弱なタイプに描かれることが多いけれど、色黒だからか、しっかりとした骨格の男、というイメージて、そこが今までの物語とは違っていて新鮮だった。ミステリ風な物語も、しっかりとした情景描写もよくて、世界をたんのうできました。ファンタジーは、抒情に流そうと思えばいくらでも流せるけど、この物語はしっかりと地に足がついた、肉体がある人間がいきている感じがとれて、そこがとても私の好みだった。これで新人とは!ぜひ次回作を読みたいです。今年のベスト新人に入ること間違いなし!

鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫ホワイトハート)

「でもお前が単純だと言った五角形の中にも黄金比はあるのよ。正五角形の一辺と対角線との比はすべて黄金比となるの。そして正五角形の交わる対角線は、互いに他の対角線を黄金比に分けるわ。正五角形の中には多くの黄金比、つまり美が隠されているのよ。人が賢くなれば、正五角形の中にもっと美しさを見つけられるかもしれないわ」
プルーデンス「鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫ホワイトハート)」(西東行・講談社X文庫ホワイトハート)p74より