読了本
- 「ファミリーポートレイト」コマコは、マコといつも一緒。二人で日本をさすらう母子は、苦しみを抱え、お互いに相手といれば幸せだった。その幸せが、壊れてしまう時が来てしまうのか?コマコの半生を綴った一冊。まあ一言で言えば虐待されて育った娘なんだけれど、そんな一言では収まりきらない愛というか情が詰まった母子関係。肉片や内蔵のように血がつまった作品でした。読んでいて飽きたり、自分の弱いところをざくっとやられたり、いろいろあったけれど、最後まで読んでよかったかなあ。私は、正しく「物語を必要とする人間」だなあと思いました。いや、そんな痛い体験はしていないけども、そういう身体になってしまった。本じゃなくてもいいんだけど(映画とかゲームとかマンガとか、あとは実際の「他人の人生」とか)、「物語」がないと生きていけないと思う。
生きる痛みが、物語を必要とする人間……つまりは作家と読者を生むのだ。
「ファミリーポートレイト」(桜庭一樹・講談社)p377より
- 「脇役スタンド・バイ・ミー」同じ町で起きた事件のミステリ連作短編集。脇田という刑事が出てくるが、彼の正体が最後に明かされます。姉さんな彼女カップルが一番面白かった。シリーズ化してほしい。