読了本

• 「扉守―潮ノ道の旅人 (文春文庫)」中国地方の街で、ちょっと不思議なできごとを集めた奇譚集。2010年のベスト本にあげた本作が文庫化したので買って再読。うーん、やっぱり好きだなあ。やるせない話もあるのが好きなんだと思います。下の引用は、「好きなもの」があるすべての人に言えることかもしれない。

「だが、もしおまえが、二度とあんな想いはしたくないと本当に願っているなら、思いきり歌うがいい。歌を愛する者が、一人でも増えるように。誰かの歌を断ち切ることなど嫌だと思う者が、一人でも増えるように。それがこの世界の片隅で、ピアニシモより小さな音でしかなくても、沈黙に比べれば限りなく大きな力を持つ」
「扉守―潮ノ道の旅人 (文春文庫)」（光原百合・文春文庫）p299より

　この作品は第一回広島本大賞を受賞しているそうです。広島弁が、実際に生きている人たちの感じでやさしい。