なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2007年上半期ライトノベルサイト杯(シリーズ作品部門)

フルメタル・パニック!シリーズ」(賀東招二富士見ファンタジア文庫
つどうメイク・マイ・デイ―フルメタル・パニック! 9 (富士見ファンタジア文庫)【07上期ラノベ投票/複数/4829119112】
 相良宗介という転校生が来てから、千鳥かなめの生活は乱れっぱなしだ。宗介はかなめをストーカーのようにつけまわし、わけのわからないことをして自爆する。いらいらするかなめだが、彼のまなざしはいつも真剣で、なんら自分に欲望を感じているわけではないことはわかっていた。わかったからこそ、なぜ自分をつけまわすのかを教えて欲しかったが、彼は応えない。そして、ケンカしたまま二人は修学旅行に向かい、そこでかなめは誘拐される。自分に何か秘密が隠されていたこと、そして、宗介の正体をかなめは知ることとなる、というのが最初の巻「戦うボーイ・ミーツ・ガール―フルメタル・パニック! (1) (富士見ファンタジア文庫)」のあらすじ。
 ただのアクション、コメディだったら、ここまではまることは絶対になかったのですが、かなめと宗介の細かい心の描写がめちゃくちゃ好きになってしまいました。かなめもただ守られている女の子に絶対なろうとしない、キャラクターが一貫していてかっこいいし、宗介はそのわんこのような鈍さと真剣さが不器用で愛しくてたまりません。
 読み方としては、長編は順番通り、短編集(タイトルに?と数字がついている)は適宜に読むのがおすすめです。長編を全て読んでからでもかまいません。長編はシリアスめ、短編はコメディめですが、どちらも心の動きがすごく感じ取れていいところがあります。ふだんアクションものとかは読まないで少女向けをよく読んでいる人にもおすすめです。
 今回は長編の最新作。待ってました!という復活編です。

《教育メッセージ。『これ』の対象を定義してください》
 アル「つどうメイク・マイ・デイ―フルメタル・パニック! 9 (富士見ファンタジア文庫)」(賀東招二富士見書房富士見ファンタジア文庫)P312より

黄昏色の詠使いシリーズ」(細音啓富士見ファンタジア文庫
イヴは夜明けに微笑んで―黄昏色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)【07上期ラノベ投票/複数/9784829118801】
 召還したいものと同色の触媒を介してそのものを呼び出す「名詠式」を学ぶ専門学校を舞台として、「名詠式」をそれぞれの立場から学ぶ学生たちの青春を描いた作品。通常は、基本の五色しか呼び出せないし、そのうちの一つしかマスターできないのが普通だが、ある高名な名詠士は全五色のマスターとなった。そして彼はかつて、「夜色名詠」というかつてない名詠に挑戦した少女と約束をしていた。いつか、お互いの夢を果たしたら、その名詠を見せ合おうと??。
 新人さんのデビュー作にして初シリーズ。「夜色名詠」を使うという少年とその同級生の少女との話も交差していき、結末でゆるゆると解決していく様が楽しめました。出だしは少々スローペースですが、クライマックスに向かっての気持の加速度、それぞれの「名詠式」への想いがぐっときました。
 対象期間中に出た続編は、主人公が変わってしました。それはそれでそれなりに面白かったですが。

何処にもいない 至小夜
Lwars neckt ele ravience Shadir
 イブマリー「イヴは夜明けに微笑んで―黄昏色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)」(細音啓富士見ファンタジア文庫)P14より

「抗いし者たちの系譜シリーズ」(三浦良富士見ファンタジア文庫
再始の女王―抗いし者たちの系譜 (富士見ファンタジア文庫)【07上期ラノベ投票/複数/9784829118962】
 魔王を倒した人間の勇者、サラが「魔王」を襲名し、人間世界を支配する皇帝として君臨する。しかし、その心に住まう愛しい相手は、元魔王その人???
 新人さんによるデビュー作シリーズの完結編。シリーズ中盤は中だるみするかな?と思いましたが、ラストでちゃんとやってくれたなーと思いました。ちょっと変わった設定のファンタジー、謀略ものが好きな人ならおすすめです。

伯爵と妖精シリーズ」(谷瑞恵集英社コバルト文庫
伯爵と妖精 ロンドン橋に星は灯る (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)伯爵と妖精 花嫁修業は薔薇迷宮で (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)【07上期ラノベ投票/複数/9784086008839】
 妖精と交流することのできるリディアは、その能力を活かして「妖精博士」という立場で、伯爵エドガーに仕えていた。女ったらしで、本当に悪党で嘘つきなエドガーはリディアを口説きまくるが、リディアはかたくなに拒み続ける。その気持は、「好きになれない」から、次第に「好きになったら辛いから」に変わっていく……。究極のじれじれロマンス。
 前回に続いて投票。話がちゃんと進むのがまたよいですね。最初の巻だけではまだ面白さが伝わりませんので、数巻まとめて読むことをおすすめします。

「あの、こんなことも……?」
「うん、してたよ」
 リディアとエドガー「伯爵と妖精 ロンドン橋に星は灯る (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)」(谷瑞恵集英社コバルト文庫)P87より

「ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ」(青木祐子集英社コバルト文庫
恋のドレスは明日への切符 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)恋のドレスと硝子のドールハウス ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)【07上期ラノベ投票/複数/9784086008655】
 ヴィクトリア朝時代の英国。「恋を叶えるドレス」をつくることで有名な「薔薇色」の店主クリスは、公爵の長男シャーロックとの身分違いの恋にわれを忘れそうになっていた。
 前回に続いて投票。こちらのシリーズには、ちょっとトンデモ設定があるのですが、そこはまあ気にせず(笑)、毎回の新作ドレスもよいですよ〜。最近はシャーロックの方が乙女になっていてそれがまた笑えます。可愛いよシャーリー(笑)。

地面を踏みしめる音が、幸せだった。
 「恋のドレスと硝子のドールハウス ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)」(青木祐子集英社コバルト文庫)P122より