なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2017年に私が読んだ小説ベスト10

「傍観者の恋」(ナツ・Jパブリッシングフェアリーキス) 
傍観者の恋 (フェアリーキス)
 幼馴染の好きな人は、病弱な彼の姉だった。結婚を命じられた彼女は、幼馴染とかたちだけの結婚を願う……。今年のベストはこれでした。何回読み返したことか。恋愛面も片思い同士でいいのですが、何より女の子同士の友情が両思い過ぎて最高でした。病気ものですが、不治の病の彼女が、だれよりもしっかりと後のことを考えつつも思いがあふれるところが本当によかった。あきさんのイラストがまたよくて、ぼうぜんとする主人公の姿は白眉。
 フェアリーキスは、白いのはエロなしなのですが、これはそのエロなしのほうです。後日談は書きおろし。おすすめです。

「ひざまずく騎士に、彼女は冷たい」(遊森謡子・Jパブリッシングフェアリーキス) 
ひざまずく騎士に、彼女は冷たい (フェアリーキス)
 異世界で奴隷のようにこきつかわれて二年が過ぎた。そこへ現れた「騎士」のようなひと。彼は彼女の「運命の人」?魔法により強固な絆で結ばれたが、彼女は決して彼を「許さない」。それが「普通」だよね……意思に反していきなり異世界にとばされて、しかも労働させられて、虐げられて、家族もどうなったかわからない。そんな状況で、「じゃあらぶらぶしちゃお〜ぜ〜」とかのんきすぎる……。強い意志を持ってはいるけれど、だからこそやさしいヒロインが魅力的でした。かんたんに甘い雰囲気に持ってかないところもよかった!(というか最後までいかない(笑))これもエロなし。

「おこぼれ姫と円卓の騎士シリーズ」(石田リンネ・エンターブレインビーズログ文庫)(完結) 
おこぼれ姫と円卓の騎士 反撃の号令 (ビーズログ文庫)おこぼれ姫と円卓の騎士 新王の婚姻 (ビーズログ文庫)
 女王になるべくして生まれた……けれど、それは「生まれた」だけで、彼女自身で努力して、こころを働かせて、仲間をつくっていかなくてはならない。そんなことをひとつひとつ描いてきたシリーズ、完結です。
 今までつちかってきたものが、すべてここに!という快感がたまらん巻から、最終巻。あと一冊で終わり〜?いや〜!と悲鳴を上げたくなるようなシリーズに育ちました。仲間のそれぞれのそれぞれとしてのやりかたがたまらん。恋愛面ではデュークよくやった!ここ数年の少女小説ではベストのシリーズです。少女小説ですが、主人公が女の子女の子していないので、男性でも読んで楽しめるのではー。

「ハーシェリクIII 転生王子と白虹の賢者」「ハーシェリクIV 転生王子と光の英雄」(楠のびる・双葉社Mノベルス) 
ハーシェリク(3) 転生王子と白虹の賢者 (Mノベルス)ハーシェリク(4) 転生王子と光の英雄 (Mノベルス)
 元オタクOLから転生した第七王子……ですが、前世はあまり関係なく、父王を陰から助けるため、幼いころから暗躍するハーシェリク。そのこころは「自分が悪役か、ではなく自分がしたいと思ったことをする。多くの人が希望を持てる世界にしたい」というもの。その気持ちを理解できない「善人」たちとたたかったりするお話です。前世ものかは、主人公が「世界」に対して疑問を持てるかという点では意味があるけど、他はあまり関係なくて、主人公が好きになれるかがやっぱりでかいな。ネット小説の書籍化ですが、かなり一般ファンタジーライトノベルに近い感覚で好きです。

「魔法使いと副店長」(越谷オサム徳間書店 
魔法使いと副店長 (文芸書)
 単身赴任をしているスーパーの副店長のところにふってわいたアリスと名乗る「魔法使い見習い」。彼女は同居させてくれと言い張るが……。やっぱり、越谷オサムさんはいいなあ……。さみしすぎず、とってもありそうな出来事に対してのスタンスとか、アリスの一所懸命な感じとか。どれも読んでいて心地よい。

「長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本」(江本 マシメサ・宝島社文庫
長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)
 ある雨の夜にたまたま入った喫茶店。メニューはひとつのみ、長崎銘菓をメインにお菓子と飲み物。彼女はそこでバイトすることになるが、店主は謎の人で……と、ミステリというわけでも、ガリガリの恋愛というわけでもなく、どっちかというと「長崎銘菓うまい!」というお話。だれでも楽しめる感じなので、おすすめ!長崎にいきたくなります。

「オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3 奥様と最後のダンス」(太田紫織新潮文庫nex 
オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3: 奥様と最後のダンス (新潮文庫nex)
 シリーズ最終巻。19世紀の英国メイドとして「現代」に働く女性が、この「場所」がなくなったらどうするのか……?最後まで楽しく読ませてくれました。いいシリーズだあ。この空気がもっと続いてほしかったけれど、終わりは終わりでぐっとくる。ありがとうございました。

お菓子探偵ハンナシリーズ(ジョアン・フルーク・上條ひろみ訳・ヴィレッジブックス) 
ストロベリー・ショートケーキが泣いている (ヴィレッジブックス)ダブルファッジ・ブラウニーが震えている (ヴィレッジブックス)
 クッキー屋を営むハンナのコージーミステリ。のんきな田舎町での殺人事件に巻き込まれるというのが、「コージー」ものの定番ですが、このシリーズはまさしくそのケースで、しかも周囲がある程度それに協力的というのがなんか楽しい。欠点がなくはない母親や妹との仲良い感じ、かわいい姪のちゃっかりした感じも好き。お菓子のレシピと、それについてのコメントがまた楽しい。恋愛面では、すっごく進まないんだけど、最新刊、え、どーなるの!?という展開。
 最初の巻は「チョコチップ・クッキーは見ていた (ヴィレッジブックス)」ですが、6年前に読んで放置しておりました。すみません、面白かったです……。

チャンス姉妹シリーズ(アン・グレイシー細田利江子訳・竹書房ラズベリーブックス) 
令嬢の秘密は秋の風に隠して (ラズベリーブックス)不本意な婚約は冬の朝に (ラズベリーブックス)
 姉妹ではないのに姉妹といい、姪ではないのに姪だということにしてしいるチャンス姉妹、彼女たちにそれぞれに秘密があって……という「チャンス姉妹」シリーズ。おばさまが強力なのも痛快。

リゾーリシリーズ(テス・ジェリッツェン・文藝春秋文春文庫)
外科医 (文春文庫)白い首の誘惑 (文春文庫)聖なる罪びと (文春文庫)
 女性刑事として高いプライドを持ち、怒りを持ち続けるリゾーリは、連続殺人犯に自分が狙われたりもする。リゾーリ自身にはあまり興味がないのですが、ストーリーと女性がたくさんでてきて、その他の女性はすごく面白かった。
 去年読んだ「読み出したら止まらない! 女子ミステリー マストリード100 (日経文芸文庫)」にあった一冊なのですが、他にもはまるものがいろいろとありましたー。

「料理書のデザイン: いま知っておきたい100冊 “おいしさ"を伝える見せ方とアイデア」(鈴木めぐみ・誠文堂新光社 
料理書のデザイン: いま知っておきたい100冊 “おいしさ
 以前から、料理書を選ぶときは「おいしそ!」とおもう写真でないものは買わない。これはもう絶対、くらい。そして、おしゃれだなあと思う料理書もあって気になっていたので、これももう……たくさん料理書がほしくなる。実用であり、かつきれいで楽しくなる、そんな本がいろいろとみられます。あと、自分では普段つくるジャンルのしかみないから、違うジャンルのもいろいろと見られて面白かった。