なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • …絶句〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)」「…絶句〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」わたし、「新井素子」は小説を書いていたらなにか白い空間でぼそぼそ言っている人がいて、気が付いたら「彼ら」がそこにいた!旧作の新装版(ショート二本付き)私は中学生から高校生の頃は、新井素子にどっぷり漬かって育ち、影響もかなり受けていました。この作品は新井素子ワールドをそれこそ物語にしてしまった!というようなもので、元々新井素子さんの物語は、人物ひとりひとりが新井素子っぽいなーというところがあるのを、世界全体にほんとうに広げてしまったようなところが、ファンにはたまらない作品でした。「新井素子」の部屋という小さな部屋から、どんどん世界が「新井素子」に侵食されていき、「革命」にまで持ち上がっていくのをあぜんとみていくしかないです。読み始めたら夢中になってずーっと読んでしまいました。基本的には、しあわせな世界の中でのやるせない出来事、そんな新井素子さんの世界がこの話には集約されていると思います。書き下ろしのショートは、……まだこの言葉づかいでかけるのか!と驚きました。あ、表紙は吾妻さんのままがよかったなー。少女マンガ風も違うと思うし、なかなか難しいっすね。

 何よお! 何よ何よ何よ、本当にみんなして勝手に思いやってみたり健気になってみたりして何よ! あ、あたしなんか、あたしなんか、あんた達のこと……。
 だいっすきなんだかんねっ!
…絶句〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)」(新井素子・早川文庫JA)p128より

  • Sky* きみの生きるせかい (ガンガンノベルズ)」少年が拾われたのは、赤い目をした女性の家。そこで幸せに暮らしていたが、彼女の正体は……。静かな中で語られる真実……なのですが、罪のつぐない方はこれでいいのかなーとちょっと思いました。彼女のしたことは、生きていく+のことをした方が気持ち的にも救われるのではないかと思います。あとは異世界の設定がいまいち伝わってこなかった。戦争で銃は使われたのか、車は、飛行機は?どのくらい文明度なのかが最初わからなくて車が出てきてあれ?とか思ったり。そのあたりを自然に伝えられると上手いというのだろうと思います。雰囲気はとてもよかったので、次回作に期待。現代ものとかいいんじゃないかなー。個人的にはウォルダー好きだぜ。