なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)」拷問者組合の徒弟であるセヴェリアンが追放処分を受けて、衰えた太陽の下の世界をさすらう話、か?表紙からは華麗なファンタジーかと推察させるが、それとは違ったイメージだ。裏にはSF設定のある剣と魔法っぽい世界の話で、確かに修飾していることばは華麗なところもあるのだが、けっこうわたしたちが生きているこの世界で「あるある」みたいなことが随所にあり、かつそれが泥臭くなく、あっさりと過ぎていくのが快感だ。こういう感覚は味わったことがないなあ。ストーリーテーリーングに魅了されるというよりは、語り口や視点、思考がすごく興味深い。ラストはよくわからなかった。幻覚なのかなんだかわからないのは苦手だ。次第にわかってくるのかなあ。ラストはというか、全体的によくわからないところもあるんだけど、気にしないで読んでいるというのが実情です。わかるとこはわかるし、面白いところは面白いんだけど、なかなか他人におすすめしにくい作品ではあるなあ。

「わたしは学者ではない」彼は話し出した。「だが、最も偉大な大義も、最も卑しい手段としばしば結合するといわれていることは、わたしも知っている。諸国民は貿易で結びついており、祭壇や聖宝箱の綺麗な象牙珍しい木材は、卑しい獣の肉や骨の屑を煮たもので接着されており、男と女は排泄器官で交接する」
ヴォルダス「調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)」(ジーン・ウルフ・岡部宏之訳・早川文庫SF)p144より