なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 犬憑きさん 上巻 (スクウェア・エニックス・ノベルズ)」「犬憑きさん 下巻 (スクウェア・エニックス・ノベルズ)」呪術や憑物を代々受け継いできたものたちの末裔が、現代で現代人らしく生きていく物語。表紙買いした人は、盛大に騙されただろう(笑)、というくらいグロいシーンもあり、実は……というところで陰鬱な気分になりそうな物語でした。登場人物の一人は、霊媒でありながら全く霊的なものを見ることができないため、理論的な説明をつけようとする。そこからの展開が、私にはとても面白かった。世界の認識を変えさせる物語を描けるのって快感だろうなあ。淡々とした、登場人物にべったりつかないような冷めた視点も、私好みだし。キャラクター小説としても描けているけれど、一般小説でうけそうな気もする。恒川光太郎とかに近いんじゃないかなあ。この物語が読めてよかったです。次回作も楽しみ。

「それに、誰も留まらない場所にも、一人くらいはずっと住み続ける人が必要だよ。誰かが迷い込んだときに、案内する人がいなくちゃ困っちゃうよ」
歩「犬憑きさん 上巻 (スクウェア・エニックス・ノベルズ)」(唐辺葉介スクウェア・エニックスノベルス)p356より