なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 雪と珊瑚と」シングルマザーの珊瑚は、やっと赤ちゃんをあずけられるところを見つけて、仕事を再開することができた。しかし、そのパン屋はもうすぐ閉店が決まっていて、新しい仕事をまた見つけなくてはいけない。珊瑚はいろいろな人の手を借りながら、新しい道を進み始める。実に梨木果歩さんらしい、そして今までの梨木さんにない「人の手を借りる」物語でした。夜中に読み始めたらつい深夜まで読むふけってしまいました。今までの梨木さんの物語は、一人の力で成し遂げていく話が多かったような印象がありますが、この物語では、珊瑚はシングルマザー。一人で生きていくだけならできるかもしれなかったけれど、赤ん坊のいる状態で、それはさすがにしんどすぎる。働くこともできない。その中で、珊瑚に協力してくれる人を少しずつ見つけていって、「だれにも頼らない」というプライドとどっちをとるかを常に迷いつつ、進んでいく姿が印象的でした。プライドって、ぜんぜんなければないで問題だし、あればあったでめんどくさいし、難しいなー。あの手紙は手紙ですごかった。でも、手紙という手段を使うだけ卑怯だなあと思いました。これを面と向かって言えたらすごい。

「プライドの鍛え方が違うのかもしれません」
「そうね。珊瑚さんはもっと鍛える必要があるかもしれませんね」
珊瑚とくらら「雪と珊瑚と」(梨木果歩・角川書店)p142より