読了本
- 「“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)」シリーズ最終巻。卒業間近な"文学少女"こと遠子先輩が気になりつつも、ななせとつきあいはじめた心葉。しかし、遠子先輩を心配する流人にそそのかされて、心葉は少しずつ、遠子先輩の事情を知っていく。ただ遠子先輩に守られるだけだった心葉が、遠子先輩の代わりに"文学少女"の代理として事件を読み解く。すべては彼女のために。まあ、ラストはそうなるだろうなととちゅうから思ったとおり。そうならないと、どうにも納得できないもん。レモンパイはちょっとがっくりだったけど(笑)。あれは騙されたとしか〜。ラストは、私は「少女革命ウテナ」を思い出しました。守られていた、狭い世界を見ていただけだった者が、守ってくれていた人を失い、歩き出す。そこにはむなしさはなく、明るさだけがある。そんなラストだと。
シリーズ全体としては、こんなあらすじです。文芸部の遠子先輩は、物語を書いた紙をぱくぱく食べる「妖怪」。彼女の「おやつ」のため、井上心葉は毎日三題話を書かされていた。"文学少女"の周囲で起こる文学がらみの事件を描いたシリーズ。毎回ある文学作品をテーマとして、現在の青少年たちの悩みや苦しみ、悲しみを上手く描き出しているシリーズです。ラストはちょっと心葉くんのヘタレ具合にひきぎみでしたが、それまでは素晴らしく面白かったです。ヘタレくんが好きな人、ヤンデレ気味な人が好きな人には特におすすめですが、ふつうに文学が好きな人にもおすすめ。国内外の文学を愛する遠子先輩の物語を語る魅力は絶大です。
「けど、醜い現実があるのなら、美しい現実も存在しているんです」
心葉「“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)」(野村美月・エンターブレインファミ通文庫)p268より
うーん、どうもネットの感想だと、ななせ擁護派が多いなあ。私は、ななせと心葉は正直合わないと思う。ななせは心葉といるといつも不安になってしまって、結局つらくなるだけじゃないかな。他の人との方がいいんじゃないかと。好きになったのは間違いじゃないし、うまくいけばいいけど、好きなのとつきあうのとは、違う難易度がありそうですよね。心葉とつきあうのは、ななせにとって、とても難しくて、辛いことが多いことじゃないかなと思いました。それをあえて続けていくのも選択だけど、止めるのも選択じゃないかと。心葉のせい、ではなくて、ななせの選択は、それもまた、未来へ向けての一歩だと思いました。
- 「ひな×じん 鎖の少女と罪悪感の天秤 (ファミ通文庫)」ネットカフェ暮らしを強いられている元女子高生、雛菊。彼女と「ジン」はあるモノを集めていたが、それには親しい知人をつくるわけにはいかない理由があった。あるSNSのコミュニティに潜入した雛菊は危険な目に遭う?なかなかないストーリーで、面白かったけどちょっと暗いかなあ……物語の雰囲気自体は明るいのですが、親しい知人をつくることができない、というのは想像を絶する辛さだろう。しかもジンは非人間的だし。なかなか難しい題材に挑戦してるんじゃないかな。
- 「瑠璃の風に花は流れる 紫都の貴公子 (角川ビーンズ文庫)」敵国の王子の婚約者となった緋奈。彼女の前に現れたのは、懐かしくも憎いあの彼だった!少しずつ黒嶺国になじんでいく緋奈ですが、ライバル登場とかいろいろとどきどきな巻でした。二巻にして王子とらぶらぶ決定なこの話ですが、王家ものが好きな人は面白いかも。ファンタジー要素もあり。
- 「謎の転倒犬―石狩くんと(株)魔泉洞 (創元クライム・クラブ)」有名な占い師の会社で働くことになったトカチこと石狩くん。占い師ものの日常の謎もの。面白かったですー。坂木司とか好きな人にはおすすめ。ちょっとヘタレな石狩くんがぷんぷん怒ったりするのが楽しいっす。おかま口調のおっさん上司とかも面白いっすね。
- 「踊れ、光と影の輪舞曲 幻獣降臨譚 (講談社X文庫―ホワイトハート)」幻獣降臨譚の九巻目。今回は、いろいろと他のキャラクターの現状をふりかえる巻でした。私はやっぱりライルが好きだなあ。ふられてるけど(笑)。
- 「女王の花 1 (フラワーコミックス)」小国の出身の正妃の娘、亜姫の一代記になるっぽい。「二の姫の物語 (フラワーコミックス)」がよかったので買ってみました。うーん、いまんとこそこまではいってないけど、作者はこういう話ほんと好きなんだろうなあ。小学館じゃあ難しいよね〜。しかもベツコミ。よく連載させてもらえたなあ。