読了本
- 「プラスマイナスゼロ」神奈川県なのに田舎の葉崎市。今回のお話は、女子高生三人娘が主人公。ちょっと暴力的で過激なユーリ、深窓のお嬢様なのにとことん不運なテンコ、そしてどこどからどこまでもフツー、のミサキが死体に会ったり、いろいろな事件に出会うショート集。短編というにはちょっと短いなーという作品集ですが、それだけにながびかない感じがなかなか新鮮。和製コージーミステリという呼び声の高いこのシリーズですが、シリーズ同士は舞台でしかつながっていないので、どの作品から読んでも大丈夫です。今回は主人公が主人公だけに、毒も少なく、気軽に読めました。
- 「金の王子と金の姫 ~神の眠る国の物語~ (B's-LOG文庫)」かつて文明を進化させた偉大な神が眠る国、ウラル。いきなり隣国の襲撃にあい、王女シーナは眠っていた神、ウラルとともに見知らぬ国へたどりついた。ウラルは彼女の姿を変えてくれたため、王女とは気づかれずにすんだが……。正統派、異世界ファンタジーといったはじまり方。ちょっと変わっているのは、仮にも神と呼ばれた存在であるウラル。彼の人柄がなかなかよいので楽しくさくさく読めた。恋愛部分もいいじれじれ。男装ものが好きならおすすめです。この流れで「盗みにまいります!-平安盗賊恋▽絵巻- (B’s‐LOG文庫)」が来たのがすごく納得。これは続きが楽しみだっ！
- 「繰り世界のエトランジェ〈第1幕〉糸仕掛けのプロット (角川スニーカー文庫)」「操糸術」を持った睦月透真の母が失踪した。実は、母の家系は代々「操糸術」を受け継ぐ家系なのだそうだ。透真は母の行方をつきとめるために、ある事件を解決しようとするが……。西尾維新さんの名前を出さずにはちょっと語れなさそうに、いろいろと影が伺える話でした。私はちょっとこれは、だめだなあ……展開といい、私には合わなかったです。残念。
少し思ったのは、登場人物の女の子が「普通の女の子じゃないから！」ということを絶叫するシーンで、小説のキャラクターは普通でなくて、普通であることを望んで、現実の人間は普通で、普通でないことを望むんだーと。なんか、「普通かどうか」っていうことって、それほど価値があることなのかなあとよくわからなくなりました。
