読了本
- 「ドラゴンファームはいつもにぎやか (ファンタジーの森)」「ドラゴンファームのゆかいな仲間〈上〉 (ファンタジーの森)」「ドラゴンファームのゆかいな仲間〈下〉 (ファンタジーの森)」「ドラゴンファームのこどもたち〈上〉 (ファンタジーの森)」「ドラゴンファームのこどもたち〈下〉 (ファンタジーの森)」再読終了。再版された早川文庫版(「竜飼いの紋章―ドラゴンファーム〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)」「ドラゴンファーム〈2〉竜騎手の誇り (ハヤカワ文庫JA)」「ドラゴンファーム〈3〉聖竜師の誓い(上) (ハヤカワ文庫JA)」「ドラゴンファーム〈3〉聖竜師の誓い(下) (ハヤカワ文庫JA)」)も持っているのだが、ファンタジーの森版の吉野朔美さんのイラストの方が好きなので。最初の巻は、かつての一族の栄光が残りつつも、田舎の貧乏ドラゴン牧場でただひたすら働くだけの毎日の少年、フュンフが、牧場をたてなおすためにがんばる話なのだけれど、このシリーズの魅力はあらすじでは語れないのです。この世界では、ドラゴン(といっても毛があるので、一般的なイメージのドラゴンとは違うかと)が家畜として育てられていて、それも愛玩用、使役用、乗用といろいろな種類のものがいて、使役用なんて、食用に転換されてしまいます。そんなドラゴンを育てて、一緒に暮らしていく上での日常が事細かに描かれていきます。下の世話から、毛並みの整え方、走り終わったら必ずドラゴンの世話から。そんな細かいことから、フュンフのドラゴンたちへの愛情がとても伝わってくるし、それぞれのドラゴンの個性も豊かで、可愛くてたまんない。ドラゴンだけではなくて、ニンゲンたちも同じ。それらをフュンフの眼を通してみることによって、この世界の空気を感じることができるようになっていて、それがまた心地よくて大好きなシリーズです。世間知らずなフュンフが出会う、世慣れた人たちもきちんと一人一人、それぞれの考えがあるように描かれています。
二巻目、三巻目と巻を追うごとに世界が広がって、三巻なんて、読んでいるこちらへのプレゼントかい!というくらい楽しいイベントが。ラストでは、それぞれ大きい出来事が起きるんだけれど、私はそれよりは日常のこの世界を味わうのが、一番楽しい。動物が好きな人には特におすすめですが、そうでない方にもおすすめです。下の台詞は、別の場面で使われれば説教っぽく聞こえることもあるかもしれないけど、この彼が言うなら、違うってすごくわかります。
「すっごいバカなのか、ものすごく利口なのか、ちょっと判断できない、ってこと」
ディーディー「ドラゴンファームはいつもにぎやか (ファンタジーの森)」(久美沙織・プランニングハウスファンタジーの森)p340より
「……そういう素敵な表現をきみはいつもどこから見つけてくるんだろう」
フュンフ「ドラゴンファームのゆかいな仲間〈上〉 (ファンタジーの森)」(上)(久美沙織・プランニングハウスファンタジーの森)p146より
竜はもはや、人間と共に、人間のためにしか、生きることができない生き物なのだ。
フュンフ「ドラゴンファームのゆかいな仲間〈下〉 (ファンタジーの森)」(下)(久美沙織・プランニングハウスファンタジーの森)p208より
「好きなんだったら、ためになることをするべきです。竜のために、どうすることがいいことなのか、何をしてはいけないのか、ちゃんと知らなきゃいけない。自分たちがこうしたいってことを、楽だったり便利だったりカッコいいと思いこんでたりすることを勝手に押し付けるのの、どこが好きです!」
フュンフ「ドラゴンファームのこどもたち〈上〉 (ファンタジーの森)」(上)(久美沙織・プランニングハウスファンタジーの森)p275より
「みんながみんな、かわいくって、おりこうで、元気いっぱいじゃないと、だめ? そうじゃないのも時々いたほうが、何かと面白いかもって、思ったりしない?」
メヴ「ドラゴンファームのこどもたち〈下〉 (ファンタジーの森)」(下)(久美沙織・プランニングハウスファンタジーの森)p403より
- 「まいなす (ミステリーYA!)」那須舞は、「まい・なす」という自分のあだなが大嫌いだったが、それを言えずに明るくふるまっていた。同じクラスのあまり仲の良くない女の子に頼まれて、山に行ってからよくないことが周囲におこり始めて……。……あれ、結局山に行ったのは、彼女の思い込みだけ、だったんだよね。すっごい面白い!わけではなかったけど、舞ちゃんと伯父さんのくだりはとても好きだ。母親との確執も実にありそう。
- 「金の王子と銀の悪魔 ~神の眠る国の物語~ (B's-LOG文庫)」いきなり隣国の襲撃にあったウラル国の王女シーナは眠っていた神、ウラルとともに見知らぬ国へたどりついた。ウラルは彼女の姿を男に変えてくれたため、王女とは気づかれずに王の側近となることができたが、シーナは彼に心ひかれてしまう……。今回は、相手の武器を損なうための特攻作戦とシーナが王の前に姿を現す、というまあ典型的な流れで。やたらサービスシーンが多いのがちょっと笑える。まあ、男だ女だゆーときはそーゆーものか。
- 「金の王子と黒の魔導士―神の眠る国の物語 (B’s‐LOG文庫)」ウラル国の王女シーナは、神であるウラルとともに自国の再生のため、男の姿でゴシュラム国王の側近となった。ゴシュラム国王は側近の妹であるシーナに求愛するが、自国のために受け入れることができないシーナ。ウラルの油断から、シーナの兄であるアレンが敵の手に落ちた!この巻から、微妙にBLの気配がしてきていますが、まだそういうシーンはありません。まあ、少女レーベルなのでたぶんないと思います。今回は、狼を操る魔導士が登場。あまり政治に関心ないっぽいので、味方になるのかなー。銀の悪魔は、どっからどう見ても悪役だなー。しかも変態系……。(男性が好きという意味ではなく)もうちょっと私情でなく行動してくれるといいのに。
レディ騎士とジュードの会話がほほえましくて好きです。ジュードがいちいち全てが下ネタなところが(笑)。一番好きなのはウラルかな。神にしては心が揺れすぎですが、まあたぶん元は一介の人間なんだろう。
『そして……すべての生き物の生きる権利を、勝手に奪うことを、第三の罪としよう』
ウラル「金の王子と黒の魔導士―神の眠る国の物語 (B’s‐LOG文庫)」(剛しいら・エンターブレインB's-LOG文庫)p176より