なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 横柄巫女と宰相陛下 ずっとふたりで (ルルル文庫)」無表情と無骨な言い方しかできないため、誤解されがちな巫女のノトと王のラブコメ……だったのですが、どんどんシリアス展開となり、最終巻ではまるまるシリアスです。シリーズ全体としては、悪役がどうしようもなく浅はかだったり、全体的なバランス(ファンタジー要素とか、キャラクターの配置とか)がいまいちかなーというところもあったのですが、ラストではその浅はかさを逆手にとった(笑)展開とか、ぐるっとまわって最初に戻る的なところがとてもよかったです。新人さんのデビュー作から始まったシリーズですから、バランスが良くないのはしかたないと思いますし、特に今までの流れが無駄ではなかった、というくだりがとてもよかったです。こういうところがシリーズものならではな楽しさですよね。惜しむらくは、リリィ様とおでこちゃんがラストでは空気となっていたこと……シリーズを盛り上げてくれた人達だったので、もっと欲しかったっ。今月の短編集でしめくくる六か月連続刊行もちゃんとできるみたいで、その点でも凄いシリーズでした。デビュー作のシリーズではそんなことするの間違いなく初でしょう。おとなしいけれど心の中ではいろいろ考えているノトが楽しめて、悪役の阿呆さががまんできる・ちょっとしたトンデモ展開なら許容範囲な方ならおすすめです。

「わたしも最近になって知ったんだけど、心って嘘をつくんだ。すごくつらいとき、その心の持ち主さえ知らないうちに、傷の上から嘘の感情を貼り付ける」
ノト「横柄巫女と宰相陛下 ずっとふたりで (ルルル文庫)」(鮎川はぎの・小学館ルルル文庫)p41より

 ところで、私はカノンがいまいち好きになれませんでした。ラストでも「君は何も心配しなくていい」とか言ってますが、私はそういうことを言うことよりも、「一緒にやってみよう」ということをいう人の方が好きー。どこかノトは「守るべきもの」という対象としてしか見ていない気がするんですよねー。守られることで嬉しくてそれだけでいい人はいるだろうけど、ノトは、カノンよりよっぽど辛抱強く、機転がきいていてゆうずうがきくと思うぜー。眠り姫を救ったのはノトだしね〜。