なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)ナチスドイツの支配下で、ナチスとして働いていたが失脚した青年と、彼の幼馴染の修道士のそれぞれの人生の交差。終章がもう痛くて痛くて……戦争が終わればどうなるのか、こんな展開が待っているとは……それぞれに信じるものがあって、信じるものの名のもとになら、何をしてもいいのか。今自分がしていることはどういうことなのか。それを一人一人、考えていくことが必要なんだなあと思いました。国のため、宗教のため、思うことは大事かもしれませんが、それと行動とは、そんなにも、惑いがなく、やってもいいことなのか。昨今の国際関係を思っても、あらためて考えさせられます。ライトノベルらしさはなく、戦時中のドイツ国内の様子から、こんなことを考えさせてくれた物語でした。私が今まで読んできたような「ナチスがやってきたこと」を描いたのではなく、違う角度から描かれているところが新しかった。隠されていた事実はあぜんとしましたが、それもまた彼らしいのでしょう。彼は最後にあんなことを言っていましたが、選択の機会を与えられても、決してそうしないと思います。それが彼だから。言い訳をしない、妥協を許さない、その姿は美しくもかなしい。そこまでする理由が、彼の人生のどこにあったんだろう。

 無条件に崇拝する対象をもつことは、いい逃避方法だ。神であれ、人間であれ。行動理由を全て、相手に委ねることができるのだから。
神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)」(須賀しのぶ早川書房)p120より