なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 図書館の魔女(上)」「図書館の魔女(下)」山里で育った少年、キリヒトは今日から王宮に行くことが決まっていた。師に別れを告げ、訪れたのは図書館。その「図書館の魔女」に彼はこれから仕えることになるのだ……。メフィスト賞なので、ミステリミステリ、と思って読みはじめたら、YA異世界政争ものだった。物語は、ことば……というよりは言語がメインですが、そんなことは気にせず読み進めるがよし!キリヒトが出会うひとびとやものごとに、きらきらと目を輝かせていく様を追っていけば、 物語に入っていけます。異世界ものではありますが、ファンタジー要素はほぼなし。政治の話でもありますが、何もわからないキリヒト視点からなので読者も楽しめます。物語は次から次へと苦難や冒険がやってきたり、淡い気持ちにニヤニヤしたり。長い物語でしたが、最後まで楽しめました。ファンタジー読みに特におすすめです。これはアニメ化してほしいなあ……いろいろと映像化したら面白くなりそう。きりっとしたマツリカやキョドるキリヒトを見てみたい。

 蓋し、図書館の魔女にとっては、そこに無い文字、そこに無い言葉すらが、何よりも雄弁に一つの物語を紡ぎ出すことになる。
図書館の魔女(下)」(高田大介・講談社)p381より

 ミステリ的には、ただひとつの「ことば」、そこにない「ことば」から推理するマツリカが魅力的でした。あまり言葉を尽くして書いていませんが、あらすじで語れない「愉しさ」がたまらない作品だったので、まず読んでほしいと思いました。「天山の巫女ソニン(1) 黄金の燕 (講談社文庫)」や「精霊の守り人 (新潮文庫)」のような自国と異なる国を眺める視界、更に「図書館」ですので、歴史がその上に重なる面白さ。異世界ものの醍醐味が十二分に味わえる作品でした。