なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 花宵道中 (新潮文庫)」吉原の女郎たちがそれぞれにそれぞれの恋に悩み、生きていく姿を描いた短編集。他の話とのつながりが切ない。エロ描写は濃厚で、混んだ電車で読んでいると他人の視線が気になった。(読むな) 私の好きな路線ではなかったけど、新潮文庫のつるつるした紙でこの作品を読むととてもいいなあ、と思うような話だった。私がいつも読んでいるものよりも少し格調の高い、けれど上から目線ではない、辛い道を歩まされている女たちの話でした。
  • 推定少女 (角川文庫)」ある事件がもとで家出してしまった少女が出会ったのは、捨てられた少女。細かい描写は面白かったけど、青春ぽいテーマが私の好みではなかった。あまりに青すぎてすっぱい。これなら、私は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)」の方が好きだな。ディティールは好きです。私は電脳戦士とカナのカップルがよかったので、このラストはけっこうショック……。どうやっても無理なのね(笑)。文庫版は、ラストのパターンが三パターンに増えているので、ファミ通文庫を読んだ人はラストだけ立ち読みでもするのがお勧め。

「十五歳だったときの自分に、あやまって」
白雪「推定少女 (角川文庫)」(桜庭一樹・角川文庫)p134より

  • 久生十蘭全集〈第7〉 (1970年)」「キャラコさん」を読みました。ちょっととっぽいキャラコさんは、「正しい」ひとだけど憎めない人。いろんなところでいろいろな出来事に出合い、お友達をつくっていく。「文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。」でおすすめされていて面白そうだったのが読んだきっかけ。「第七官界彷徨 (河出文庫)」と似たようなユーモラスがあってなかなかおもしろかったです。最初の話が一番面白かったかな。……あ、今気付いた。これってコージーミステリかも。うん。きっとそうです。

「たいへんだわ、死ぬまで、金をつかうことに、あくせくしなければならないとすると……」
キャラコさん「久生十蘭全集〈第7〉 (1970年)」(久生十蘭三一書房)p148より

後記・青空文庫に全て入っているみたいです。
「キャラコさん 01:社交室」
http://www.aozora.gr.jp/cards/001224/card47486.html