なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2006年下半期ライトノベルサイト杯(シリーズ作品部門)

銀盤カレイドスコープシリーズ」(海原零集英社スーパーダッシュ文庫
銀盤カレイドスコープ vol.9 シンデレラ・プログラム:Say it ain't so (銀盤カレイドスコープ) (スーパーダッシュ文庫)【06下期ラノベ投票/複数/4086303310】
 自称・壮絶美少女かつ自称・天才フィギュアスケーターで壮絶に口が悪いタズサは、マスコミには評判が悪いが、独創的なアイデアと実力のあるスケーティングでオリンピックへの切符を勝ち取り、世界へと飛び出した。完結編である最後の2巻では、永遠の女王と思われたリアへの挑戦を描く。
 完結記念。スポ根、それもフィギュアスケートという、小説ではなかなか取り扱われない題材を扱い、シリーズの最初こそ幽霊というライトノベル風の設定を使ったが、それ以降は現実的な世界設定のもと、フィギュアスケートの世界を描いた作品として評価するだけではなく、極限までの感情、そこからの脱皮という快感を感じさせてくれた作品でした。フィギュアの音楽、衣装、演技という三つの点での楽しさがよく描かれていると思います。
 シリーズとちゅうは正直だるかったですが、最後の2冊はよくやりきったと思います。やはり毒舌タズサはこうではなくては。おすすめは1・2巻セットとラストの二冊、そして番外編の4巻です。


空ノ鐘の響く惑星で」(渡瀬草一郎電撃文庫
空ノ鐘の響く惑星で〈12〉 (電撃文庫)【06下期ラノベ投票/複数/4840235899】
 ファンタジーのようなみかけでSFぽい世界の中の王子を主人公とした話。妾腹の有能な王子が左遷されても気楽にやっていたときに出会った、「柱」の中から出てきた不思議な少女の正体は?
 完結記念。1巻ではえすえふファンタジーという感じでしたが、2〜3巻では、王位争いの不穏な兆しの中、フェリオが友人たちの助けを得ながら自分の進む道を模索する話、そして他国との戦争や関係の政治の話などになっています。「十二国記」のように、いろんな人たちが出てきて、かつそれぞれがそれぞれの思いを持っている話が好きであればおすすめです。最後まで楽しませてくれました。


「"文学少女"シリーズ」(野村美月ファミ通文庫
“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)【06下期ラノベ投票/複数/4757730845】
 文芸部の遠子先輩は、物語を書いた紙をぱくぱく食べる妖怪。彼女の「おやつ」のため、井上心葉は毎日三題話を書かされていた。"文学少女"の周囲で起こる文学がらみの事件を描いたシリーズ。
 今続いているシリーズでは、これが一番おすすめです。物語を食べる、という設定はあまり生かされていないように思いますが、毎回ある文学作品をテーマとして、現在の青少年たちの悩みや苦しみ、悲しみを上手く描き出していると思います。特に二作目「"文学少女"と飢え渇く幽霊」がよかったです。


伯爵と妖精シリーズ」(谷瑞恵集英社コバルト文庫
伯爵と妖精―女神に捧ぐ鎮魂歌(レクイエム) (コバルト文庫)【06下期ラノベ投票/複数/4086008262】
 妖精と交流することのできるリディアは、その能力を活かして「妖精博士」という立場で、伯爵エドガーに仕えていた。女ったらしで、本当に悪党で嘘つきなエドガーはリディアを口説きまくるが、リディアはかたくなに拒み続ける。その気持は、「好きになれない」から、次第に「好きになったら辛いから」に変わっていく……。究極のじれじれロマンスです。
 昨年は、コバルトのこの2シリーズにはまった年でした。このじれじれがたまりません。最初の巻だけではまだ面白さが伝わりませんので、数巻まとめて読むことをおすすめします。


「ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ」(青木祐子集英社コバルト文庫
カントリー・ハウスは恋のドレスで―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)【06下期ラノベ投票/複数/4086008319】
 ヴィクトリア朝時代の英国。「恋を叶えるドレス」をつくることで有名な「薔薇色」の店主クリスは、公爵の長男シャーロックとの身分違いの恋にわれを忘れそうになっていた。
 二人ともいいかげんにしなさいというくらいじれったいのが楽しいです(笑)。こちらのシリーズには、ちょっとトンデモ設定があるのですが、そこはまあ気にせず(笑)、毎回新作ドレスとクリスのもだえっぷりを楽しんでいます。