なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

カリエの長い長い旅も、ふりだしを振り返りつつ、ある国の終焉をもって終わります。カリエの長い旅は、ある国の終焉から始まったともいえるので、ある意味、ふさわしい終わり方かと思いました。カリエはたまに落ち込むことは会っても、最後には必ず彼女らしい前向きさを見せてくれました。そんな彼女と似ているという女神、ザカリアの姿が、今回の巻では点々と現れ、そして彼女たちは去っていくのか、というところが大きな流れにもなっています。ザカリアの顔はひとつではなく、時には情け深く、時には大らかで、時には残酷で、それは人と同じで、けれど神秘的なところが魅力的な女神でした。神と人の話、にしては神の分量が(特に初期は)少な目でしたが、人が生きる世界の話、そしてそこを覗き込む滅びつつある神たちの話として、エンタテインメントとしても優れた話として、素晴らしい物語でした。シリーズ通して、おすすめです。読むなら、「帝国の娘〈前編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)」からがおすすめ。