読了本
- 「RDG レッドデータガール はじめてのお使い (カドカワ銀のさじシリーズ)」修験者たちがいる山中に住む「普通であろうとする」女子中学生が、少し変わろうと思って前髪を切ったことから、周囲の環境が激変、わけのわからない事態に巻き込まれていく、というストーリー。荻原規子さんの新刊です。「町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)」+「アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭 (アンゲルゼシリーズ) (コバルト文庫)」÷2という感じかな。特に人物設定は「町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)」と共通しているところが多いと思う。何のとりえもない、と自分では思っていて、実際クラスではみそっかす扱いされている女の子が、今までとは違う環境の中、いらいらしたり、腹を立てたりして、少しずつ変わっていこうとする。それを見ている少年もまた中三なのでまだこどもで、甘えてる甘えてる言うし。お前もこの環境の中育ってみろ!と言いたくなりました。少年と少女の関係は、荻原規子さんらしい感じ。次は東京が舞台になるのかな。アデイルのような女の子の友達の登場を願います!
少年はいいとして、悪の親玉、雪政はエロ親父ってこと……?いくらなんでも息子と同い年の娘をつけねらうなんて……ねえ。自分的には豪放磊落そうな泉水子父が興味あります。
- 「シアンとマゼンタ (シアンとマゼンタシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)」「憑き払い」の技を受け継いだ藍姫と、この世のものならむものが今は無い片目で見ることのできる真朱。二人が巻き込まれる狂気に満ちたトラブルとその解決。百合百合した雰囲気いっぱいの中で、いかれた人たちが退治される話、かな……ちょっと自分には合いませんでした。
- 「されど罪人は竜と踊る 2 ~Ash to Wish~ (ガガガ文庫)」孤高の天才少年、レメディウスはあるレジスタンス組織に人質にとられた。その組織で立場を確立していくレメディウス。しかし、彼の道行きはあまりにも残酷な過程をたどる……。化学物質を生成することのできる攻性咒式士の二人、ガユスとギギナは究極的に仲が悪いが、二人で事務所を運営している。レメディウスと身代金の引き換え現場の護衛にかり出されるが……。頭がよいゆえの哀しさがとても尾を引きます。レメディウスはこのシリーズで1、2を争うぐらい好きなキャラクター。レメディウスたちに起こることは本当に残酷なのに、更に残酷な展開にもっていくところがいかにもこのシリーズ。軽々しくおすすめはできないのですが、憐憫にひたるのではない、シリアスな物語が好きな人ならおすすめです。
「貴様の人格は信用できないが、卑怯さだけは信用できる」
ギギナ「されど罪人は竜と踊る 2 ~Ash to Wish~ (ガガガ文庫)」(浅井ラボ・小学館ガガガ文庫)p410より