読了本
今日のひとりごとに読書感想追加。
- 「夜と霧 新版」心理学者、強制収容所を体験する。というテーマである一人のユダヤ人心理学者が自らの体験から書いた本です。私は映画「シンドラーのリスト」が好き、というと語弊があるけれど、とても心に残っている作品でたまにすごく見たくなる時がある。毎回一番ぐっとくるのは、淡々とホームに残された荷物を分別していくシーン。二度と持ち主に帰ることなどない持ち物を分別しているのは、また差別されている人たちであり、そこで価値がないとして無造作に捨てられる大切な写真たちは、その人たちの死も意味する。そんな体験をして、かつ家族も全て失った人が、こんな冷静に、オレはかわいそうだろ!と叫ばずに、こういうこころの動きがあった、ということをただ淡々と記していった本です。普段はドキュメンタリーは読まないのですが、読んでよかった。非常にわかりやすいことばで語られているので、普段こむずかしい本を読まない方でもOKです。下の言葉なんて、ゲームとかで出てきそうな言葉だけど、こんな体験をしたひとに、こんなふうに語られると、とても説得力がある。
しかし、行動的に生きることや安逸に生きることだけに意味があるのではない。そうではない。およそ生きることそのものに意味があるとすれば、苦しむことにも意味があるはずだ。
「夜と霧 新版」(ヴィクトール・E・フランクル・池田香代子訳・みすず書房)p113より
- 「人の心がつくりだすもの」河合隼雄さんって去年亡くなっていたのか……知らなかった。河合隼雄さんの対談集。いろいろなテーマで語られています。一番面白かったのは、南伸坊さんとのもの。このコンビは好きだー。このコンビで書かれた「心理療法個人授業 (新潮文庫)」もおすすめです。
以下は、ハリポタについての河合隼雄さんのコメント。いやー、ほんと、ハリポタは私はエンタテインメントだと思っているので、あれがファンタジーの代表作でしょ?と言われると反論したくなる。
あまりそういったものを読んでいない大人がぽっと読むと、驚くんではないでしょうか。やはり、ハリポタ、いや、ハリボテではないが、パッパッパッパッとつなげて上手につくってある話を、みんなファンタジーだと思ってしまう
河合隼雄「人の心がつくりだすもの」(河合隼雄・大和書房)p199より