なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 神様が用意してくれた場所 (GA文庫)」ちょっとだけ不思議な能力のある池沢香絵は、雑用のバイトをしている探偵事務所で、不思議な事件と出会う。「あるはずのない道」に迷い込んだらしいその人を探すために、香絵がその場所へ行ってみると……。すごいハートフルな話かと思っていて、避けていたのだけれど、読んでみたらそんなに「正しい」物語ではなくてしっくりきた。うん。好きです。少しさみしい感じの短編集。主人公が「助けてあげよう」という気持ちではないところがいいですね。早見裕司さんの季里シリーズ(最新刊は「ずっと、そこにいるよ。」)をやわらかく、少し大人にした感じかな。GA文庫はふっとこういう話を出すので、あなどれない。

「ここは、誰が来てもいいようにいつもあんぐりと口を開けているけれども、気づかない人が多いだけだよ」
神様が用意してくれた場所 (GA文庫)」(矢崎在美・ソフトバンククリエイティブGA文庫)p203より

  • 活字倶楽部 2009年 03月号 [雑誌]」2008年マイベストブック特集。私は、実は小説関係の雑誌はこれしか買わない。自分の趣味はマイナーすぎるので、ほぼ全ページ楽しめるのは、この雑誌だけ。まあ、毎号買っているわけではないけど、マイベストブックの号は必ず買うことにしている。駒崎優さんの次回作が笑えた。またおじさんかよ!歓迎だよ!(笑)
  • 天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺」天山を追放された元巫女のソニンが、一国の末王子とともに、三国をめぐる政争に巻き込まれていくアジアンファンタジーソニンは、最初は巫女らしく、自分の欲というものを持っていなかったのですが、だんだんと人間らしく、自分のしたいことを考えるようになってきました。三国のそれぞれの王子、王女や、それぞれの国の土地柄、名産、性格など、特徴があるところが非常に面白いです。一応、ジャンルは児童文学ですが、ライトノベルっぽいところもあるので、「彩雲国物語」あたりが好きな人は面白いかも。「十二国記」ほど固くはなく、「守り人シリーズ」ほどがっちりもしていないけど、もうちょっとライトな口当たりの、しかし国同士の関係が描かれているものってあまりないので楽しく読めます。

ソニンは冷静に見えるセオの言葉に疑問を感じました。自分の主のために働くことを無条件で「正しい」というのは、「正しくない」と思ったのです。
天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺」(菅野雪虫講談社)p210より

  • 流水宮の乙女 動き始めた運命の音色 (流水宮の乙女シリーズ) (コバルト文庫)」獅子龍神をまつる流水宮の乙女として十三年間を過ごしてきた落華と、彼女を守ることを生きがいとしてきた乙女、飛沫。飛沫はなぜか新たな流水宮の乙女として獅子龍神に選ばれ、とまどう気持ちのまま出奔。ある村で保護されて、自分の立場を自覚する。落華を誰よりも愛していたのに、彼女に最も辛い事実を告げる場面は迫力ありました。けっこう運命な感じなストーリーなので、ついていけるか自信がありませんが、とりあえず次は読んでいこうと思います。