なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

2009年度に私が読んだ小説ベスト10

イデアマスター GLASS HERAT」(若木未生幻冬舎コミックスバーズノベルスグラスハート) 
イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)
 ドラムは素人だった西条朱音が、バンドのメンバーとして成長していくシリーズ最終巻。一見ばらばらなメンバーたちの、音楽を「つくる」ことへの思い、そしてライブのシーンはもうたまらんしろものです。
 長い期間を置いて発表された最終巻でしたが、こう描かれると、こういうラストしかありえない、と思わさせられました。少女向け音楽青春小説として、音楽が聞こえるよい小説でした。個人的には、最初の巻と最後の巻がとびぬけて好き。けっこう主人公が漢らしくよく泣くので、そういうのがだめな人とか、文章が駄目な人はいるかもしれないけど、好きな人はとても好きになれるでしょう。特にリアルで若い人は影響受けまくりそう。青臭いところがたくさんあるけれど、笑えるところも、イイところもたくさんある物語です。若木未生さんの他の作品とは少し違うところがあるので、苦手な方でもおすすめです。やや少女ものではあるので、男子は最初の巻を読んでどうするか決めてみてはー。

 先生がどこにいても、あたしは、きっと平気で、あたしの音を鳴らしながら、待つ。
 あたしの心臓を鳴らして待つ。
西条朱音「イデアマスター―GLASS HEART (バーズノベルス)」(若木未生幻冬舎コミックスバーズノベルスグラスハート)p246より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  さよならピアノソナタ (電撃文庫)」音楽、恋愛、青春といいブレンド。こちらは少年が主人公ですが、音楽を愛する人におすすめです。


「神様が用意してくれた場所シリーズ」(矢崎在美・ソフトバンククリエイティブGA文庫 
神様が用意してくれた場所 (GA文庫)神様が用意してくれた場所2 明日をほんの少し (GA文庫 や 1-2)神様が用意してくれた場所 3 いつかの少年 (GA文庫)
 ちょっと不思議なものを見たり、話したりできることのできる香絵は、探偵事務所で事務のバイトをしているが、たまに不思議な事件を頼まれる。といっても、解決したりできるというよりは、ただ話を聞いてあげることぐらいしか、彼女にはできないのだが。
 「幽霊」話ではなく、ちょっと不思議でちょっと苦いような後味の話が、やはりいいです。「いい話」、「泣かせる話」だけの話ではなくて、あまり積極的にやってみよう!という性格ではない香絵が、ふつうは見えないものたちと交流し、彼らの言うことと、生きている人たちの話を聞いて、自分で判断して少し手伝ってみる、というスタンスが、おしつけがましくなくて心地よい。シリーズはこの3巻で中断しているようですが、もっと読みたいなあ。特に大人の女性におすすめです。

「――『言える』んじゃないよ。『言いたい』だけ」
池沢香絵「神様が用意してくれた場所2 明日をほんの少し (GA文庫 や 1-2)」(矢崎在美・ソフトバンククリエイティブGA文庫)p139より

「少しだけでも変わるっていうのは、大人にとって大変なことなんだよ」
社長「神様が用意してくれた場所 3 いつかの少年 (GA文庫)」(矢崎在美・ソフトバンククリエイティブGA文庫)p35より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  カラクリ荘の異人たち?もしくは賽河原町奇談? (GA文庫 し 3-1)」妖怪たちの世界と人間たちの世界の狭間にある空栗荘に住むことになった太一の日常。やわらかい絵柄がぴったりのシリーズです。こちらも少しさみしい風合いがよい空気感。


「ヴィクトリアンローズテーラーシリーズ」(青木祐子集英社コバルト文庫 
恋のドレスと舞踏会の青―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫 あ 16-23)聖者は薔薇にささやいて―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)恋のドレスと追憶の糸―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
 ヴィクトリア朝時代の英国。「恋を叶えるドレス」をつくることで有名な「薔薇色」の店主クリスと、公爵家の長男シャーロックとの身分違いの恋の話。このシリーズ、最初はドレスにうっとりし、じりっじりっと進む恋愛ににやにやし、そしてとうとう、シャーリーの惚れ負けっぷり(乙女っぷり)に爆笑する、ラブコメ段階に入りましたよ!
 このシリーズの人物像はとてもしっかりしていて、まるで生きている人のように、この人ならこうするだろう、この人はこうするだろう、というのが私たちにもわかるようになっている。そこが私がこのシリーズをとても好きな理由だと思います。全てが読める、というわけではなくて、ああこの人はこうするんだ、実に彼らしいな、といった具合で。それだけ人物描写が上手いんだろうなあ。特にパメラ(主人公の親友)は、多くの女性に愛される人だと思います。恋愛に心酔するのではなく、現実も見据えた上で酔う味、というのも実に官能的。おすすめです。

 男ものの手袋なんて、作ったことがなかったんですけど――とクリスは恥ずかしそうに言った。
 あたりまえである。俺のもの以外、作る必要はない(一生)。
聖者は薔薇にささやいて―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)」(青木祐子集英社コバルト文庫)p58より

「昔は、心を形にするだけだった。自分と、相手の気持ちしか見てなくて、それがいいか悪いかなんて、考えなかったの。でも今は、お客さんがしあわせになってほしいと思うの。私の望みを、ドレスに託したりなんてしないわ」
クリス「恋のドレスと追憶の糸―ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)」(青木祐子集英社コバルト文庫)P128より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  エマ (1) (Beam comix)」こちらはメイドは貴族の子弟の恋愛。こちらも実に人間模様がしっかりしています。女性にもおすすめ。


伯爵と妖精シリーズ」(谷瑞恵集英社コバルト文庫 
伯爵と妖精 すてきな結婚式のための魔法 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)伯爵と妖精 魔都に誘われた新婚旅行 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)伯爵と妖精 月なき夜は鏡の国でつかまえて (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)伯爵と妖精 白い翼を継ぐ絆 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)
 妖精博士の少女とタラシの伯爵のラブロマンス+妖精譚。ファンタジー部分と恋愛部分と、いいつり合いがとれているシリーズです。ようやく結婚+新婚編。今回は特に「伯爵と妖精 魔都に誘われた新婚旅行 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)」がよい巻で、リディアとエドガーが、やっと……やっと!!お互いの気持ちをわかったりできるようになっていた。ここまで長かった……。新メンバーである侍女のケリーの、ノーマルな立場からの意見が毎回楽しいです。

 日常のささやかな行動が、ともに年月を重ねていく幸福な未来を予感させてくれる。
伯爵と妖精 魔都に誘われた新婚旅行 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)」(谷瑞恵集英社コバルト文庫)p270より

エドガーさまは、どんなにつらい状況でも前向きに楽しみを見出す方なのです」
 一見恰好のいい言い方だが、伯爵の場合、天然のタラシだというだけではないか。
伯爵と妖精 月なき夜は鏡の国でつかまえて (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)」(谷瑞恵集英社コバルト文庫)P149より

「早っ……」
ケリー「伯爵と妖精 白い翼を継ぐ絆 (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)」(谷瑞恵集英社コバルト文庫)p105より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  チェンジリング―赤の誓約(ゲァス) (ハルキ文庫)」「チェンジリング―碧の聖所(ネウェド) (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)ケルト風の異世界もの。音と光のうつくしい環の描写が魅せてくれるだけではなく、主人公だけではない、ほかの登場人物たちの悩みや迷い、決断、怒りたちがかなしくも愛しく思えました。「ここではないどこか」の物語は、逃げではなく、「ここで生きるため」の物語になることができる、そんなことを感じさせてくれた物語です。叙情的というよりは、骨太なファンタジーとしておすすめです。


身代わり伯爵シリーズ」(清家未森角川ビーンズ文庫 
身代わり伯爵の求婚 (角川ビーンズ文庫)身代わり伯爵と伝説の勇者 (角川ビーンズ文庫)身代わり伯爵の失恋 (角川ビーンズ文庫)身代わり伯爵の告白 (角川ビーンズ文庫)
 こうと決めたら無鉄砲きわまりないけど健気で思いやり溢れる女の子、ミレーユの冒険譚、シアラン編。このシリーズは、ミレーユの暴走と暴言が一番の楽しみ(笑)。破天荒で多少都合のよい展開も、この楽しさあがあれば無敵です。このシリーズもじきにアニメ化しそうな勢いを感じます。CDドラマ(「ドラマCD 身代わり伯爵の冒険」「ドラマCD 身代わり伯爵の結婚」)も聴きましたがよい出来でした。

「ごめんで済むわけないでしょー! どうせやるんならもっと普通にやりなさいよね!」
ミレーユ「身代わり伯爵の失恋 (角川ビーンズ文庫)」(清家未森角川ビーンズ文庫)p195より

「おいおい、馬鹿言っちゃいかんよ。それはどこの英雄物語のあらすじだ? あの男らしいミシェルに、そんな一途で健気な乙女の役が務まるわけがないだろうが」
身代わり伯爵の告白 (角川ビーンズ文庫)」(清家未森角川ビーンズ文庫)p239より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  ニューヨークの魔法使い <(株)魔法製作所> (創元推理文庫)」現代のニューヨークに、実は普通の人には見えないけれど魔法が溢れていた!その中で、魔法が利かない特異体質のケイティは、魔法を売る会社にヘッドハンティングされ、恋に仕事に大活躍!というシリーズ。ものすごく楽しいラブコメ。翻訳ものですが、よみやすいと思います。


「翼の帰る処2 鏡の中の空」(妹尾ゆふ子幻冬舎コミックス幻狼ファンタジアノベルス 
翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス)翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)
 北嶺領を治める皇女の元で働くヤエトは、今日も今日とてひたすらに若隠居を望んでいるのに、望みが叶うあてもなく、それどころか出世街道を望みもしないのに進んでしまう始末。病弱な一史官のはずが、どんどん責務を負わされ、仕事を自分で増やしていく哀れなヤエトくんの苦労話。今回は、出世街道がしがし登らされることになってしまって半泣きなところからスタート(笑)。
 ヤエトは、みかけは二十代ぽいのですが、三十七という設定で、その年にふさわしい、(たまにはただこねねみたいなことも考えるけど)これがこうだからこうしなくちゃいけないよな、というところが少なくとも外から見るとちゃんと行える。それが気持ちよいです。いろいろと舞台がくるくると変わっていくのも楽しいです。なんたって妹尾さんの描く世界ですから、その土地その土地には、特有の風土や信じられているもの、そこから現れてきた芸術や行い、建物などがきちんとある。それを覗かせてもらっているような感覚が楽しくて。相手を全面的に信じられないような緊張感も面白かったです。男子でもおすすめですので、ヤエトの無自覚にやたら人を籠絡っぷりを楽しんでください!

 ヤエトは、なんでも屋になどなりたくない。むしろ、なんにもしない屋でありたい。
 彼が望むのは、穏やかで暇でだらけた余生だけである。つまり、可及的すみやかな隠居だ。
翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈上〉 (幻狼ファンタジアノベルス)」(妹尾ゆふ子幻冬舎コミックス幻狼ファンタジアノベルス)p37より

「謝ることはない。それをひっくり返すのだぞ、これから。胸が躍るではないか」
皇女「翼の帰る処〈2〉鏡の中の空〈下〉 (幻狼ファンタジアノベルス)」(妹尾ゆふ子幻冬舎コミックス幻狼ファンタジアノベルス)p135より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  チャリオンの影 下 (創元推理文庫)」「チャリオンの影 下 (創元推理文庫)」ラストまでよろよろな「35才の中年」おやじが思いっきり活躍する話です。王女様もかっこいいですよ〜。

「天山の巫女ソニン」4・5巻(菅野雪虫講談社 
天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺天山の巫女ソニン(5) 大地の翼
 朝鮮半島風の三つの国が舞台で、天山を追放された元巫女のソニンが、一国の末王子とともに、三国をめぐる政争に巻き込まれていくシリーズ完結編。というあらすじだと、「王家もの」か、王子といちゃいちゃすんのか、という感じですが、実はこのシリーズのだいご味はそこではなく、一般の人々の目線を常に意識して観察している王子付きの女官、ソニンが主人公であるということです。王家の人々ももちろん観察対象なのですが、一般の庶民の人たち、それも三国のそれぞれの人々が政情をどのように考え、敵国、味方の国をどのように考えているか、ということがきちんと描かれている作品を初めて読んだ気がします。
 国というものは「七割」の人でできていて、その大きな勢いは善悪のどちらにでもなる可能性がある。その大きな流れをつくる可能性の大きい人がこの世界では王家の人々になっていて、それがどう流れていくか、それをどう変えていくか、ということが描かれています。「彩雲国物語」の茶州までが私は好きなのですが、それは庶民の姿が描かれていたからなのかなあとこれを読んで思いました。読み終わって、この世界にもっとひたりたいと思いました。これで終わりなんてもったいない。もっと味わいたい。作者はこれがデビューのシリーズなので、次回作に期待です。おすすめですが、「彩雲国物語」の茶州までが好きな方には特におすすめ。ちょっと「イイコ」の元巫女のソニンが、「世界」を見る視点を味わってみてください。

ソニンは冷静に見えるセオの言葉に疑問を感じました。自分の主のために働くことを無条件で「正しい」というのは、「正しくない」と思ったのです。
天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺」(菅野雪虫講談社)p210より

「日々修行し、鍛錬し、己の目に見えるわずかな景色から、この世がどう動くのかを見極めようとしている。あれのやっていることは、巫女そのものではないか?」
大巫女「天山の巫女ソニン(5) 大地の翼」(菅野雪虫講談社)p97より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  風の王国 (風の王国シリーズ) (コバルト文庫)」唐の時代に吐蕃に嫁いだ皇帝の姪を中心とした歴史少女小説。いろんな立場の人がいろんなことを考えつつ、ある側面もあるけどこういう側面もある、ということが描かれているのがほんとうに面白い。

「クロニクル 千古の闇」2〜5巻(ミシェル・ペイヴァー・さくま ゆみこ訳・評論社) 
生霊わたり (クロニクル千古の闇 2)魂食らい (クロニクル千古の闇 3)追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)復讐の誓い (クロニクル千古の闇 5)
 人類が農業を発明していなくて、まだ狩猟でだけで生計を立てている時代のヨーロッパが舞台。オオカミの言葉がわかるトラクと、トラクを「兄貴」と慕うオオカミのウルフ、そしてトラクの友達レンたちの古代冒険ファンタジー。それぞれのシリーズタイトルから、暗い話なのかな?とか思われそうですが、トラクのだめっぷりとウルフの可愛さ、レンとフィン=ケディンのむくわれなさにやきもきする話です(笑)。大人にもおすすめ。オオカミ目線があるのも特筆すべきことですね。オオカミ好きには絶好です。

「確かなことなど、どこにもないのだよ、トラク。おまえに勇気があるなら、おそかれ早かれその事実に直面するだろう」
フィン=ケディン「復讐の誓い (クロニクル千古の闇 5)」(ミシェル ペイヴァー・さくま ゆみこ訳・評論社)p406より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)」「騎士(シヴァルリ)の息子 下 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)庶子の少年が城にひきとられるところから物語が始まり、まずは暗殺者としての教育を受けます。彼は「ヒーロー」になることはけしてなく、ひたすら運命にもてあそばれ、トラブルの渦中にどうしても入ってしまい、たてつづけに苦難に巡りあってしまうという鬱々とした話ですが、なぜかこれがとても面白いのです。こちらも犬が出てきます。もうすぐシリーズ続編も発売予定。楽しみ〜。

「ミストボーン 霧の落とし子」全3巻(ブランドン・サンダースン・金子司訳・早川文庫FT)
ミストボーン―霧の落とし子〈1〉灰色の帝国 (ハヤカワ文庫FT)ミストボーン―霧の落とし子〈2〉赤き血の太陽 (ハヤカワ文庫FT)ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)
 <終の帝国>では、スカーと呼ばれる民が蔑まれ差別されていた。スカーの反乱一味に仲間入りした少女、ヴィンは貴族の子女と偽り、密偵の仕事にはげむ。三部作中の一部の完結編。半分まで読んでおもしれー!と思っていたのですが、それどころぢゃないよ!なんだこの怒涛の展開な後半。ブランドン・サンダースンおそるべし……!アクションがいいスパイスになっていてよりよくしている。二巻まででふってきた伏線もごっそり回収しまくるし。なんだこの構成力。すげえ。なんとなく「ジョジョ」っぽい世界だなあと思いました。
 登場人物としては、反乱一味のカリスマリーダーであるケルシャーが、ヴィンによって変わっていくのがとても面白かった。ただのガキ大将だったケルシャーが、少しずつ責任感と重さを理解して学びとっていくのが目に見えてわかる。私が個人的に好きなのは、執事っぽいキャラクターのセイズド。常に「お嬢様」を守ることを誓ったのに、言うことは言う、そしてちゃんと考えることができる、知識がある。かっこいいじゃないですか。一巻よりは二巻、三巻と面白くなっていきます。今年一押しはこれ!というか続編読みたいのでみんな買ってください!プリーズ!と思っていたら、二月に続編出るっぽい!ヤター!

「きみの倍……ヴァレット、ぼくは二十一なんだぞ。きみがとてもませた十歳児でもないかぎり、ぼくが"きみの歳の倍"なんてことはありえない」
エレンド「ミストボーン―霧の落とし子〈2〉赤き血の太陽 (ハヤカワ文庫FT)」(ブランドン・サンダースン・金子司訳・早川文庫FT)p173より

「みんな、頭がイカレてる。」ヴィンはつぶやいた。「こんなことできっこないよ。ドクス。あたしたちは無敵じゃないんだから」
 ドクソンが鼻を鳴らす。「おれたちは、まったくの役立たずってわけでもないぞ」
ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)」(ブランドン・サンダースン・金子司訳・早川文庫FT)p238より

→この作品が好きな人へおすすめな作品
  エラントリス 鎖された都の物語〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)」「エラントリス 鎖された都の物語〈下〉 (ハヤカワ文庫FT)」一組の男女が政略結婚することになっていたはずなのにまったく異なる生活をすることになってしまう。恋愛中心ではなく、ある「呪い」のような設定が中心です。下巻は特に怒涛の展開。

「鉄球王エミリー 鉄玉姫エミリー第5幕」(八薙玉造集英社スーパーダッシュ文庫
鉄球王エミリー 鉄球姫エミリー第五幕 (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
 ちょっと下品だけど、熱く真摯な魂を持つエミリーのシリーズ完結編。ラストで最初に戻ってきたのがとてもよかった。このシリーズは、エミリーが下ネタばかり言うんだけど、下劣ではなく、醜くなくて、でも清廉ではない。このまま死んでもそれは「終わり」や「負け」、ましてや「自己犠牲」でなんてありえない、そんな戦いと死、そして生きることの魅せ方がとてもよくて好きなお話でした。多少の下品さにくすりとできる人にはおすすめ。

 全員が無事であってほしい。もう一度、みんなと会いたい。
 あまりに身勝手で一方的な願いだ。神罰が下されてもおかしくないだろう。
 そうだとしても、この一度だけの奇跡をかなえてほしい。
ロッティ「鉄球王エミリー 鉄球姫エミリー第五幕 (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)」(八薙玉造集英社スーパーダッシュ文庫)p222より