なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • 黒百合」戦前から戦後あたりの回想をつづった物語。戦後の混乱が終わりに近づいた夏、三人の14歳のこどもたちが出会った。二人は男の子、一人は女の子。この一夏を、彼らはどのように受け止めていくのか。ラストのしかけはまあびっくりはしたけど、……それで?とちょっと聞き返したくなってしまった。ちょっと、なんか、弱い気がするー。残念。避暑地での一夏の青春、とか淡い恋とか、そのあたりが好きな人はいいかもしれない。
  • 珠華繚乱 ~帝国を覆う陰~ (ルルル文庫)」反乱から一国をつくった一族の姫と、王子様のラブコメ王族もの。今回は、ある占い師の陰謀を阻止するために他国まで出向く一行のお話。珠家の異常さがよくわかってきた。この巻はらぶがほぼなし。陰謀も準備段階なので、もりあがりがあまりなし。

「働いたら働いたぶんのお金が入ってくるし、もし洪水や嵐が起きても国が助けてくれて、頑張ってる人が飢えて死んだりしない国なら、余計な生活の心配全然なし。何かあっても、『とりあえず生きてれば良いことある』って、みんなで笑ってられる国ならもう最高ぅー。というわけで、いっちょ一緒にそういう国を作ってみよっか?」
蓮祥「珠華繚乱 ~帝国を覆う陰~ (ルルル文庫)」(宇津田晴・小学館ルルル文庫)p92より

  • ヴェアヴォルフ‐人狼―オルデンベルク探偵事務所録 (C・NOVELSファンタジア)」「ひとではないもの」がまだ隠れて生きている1900年くらいのドイツ帝国が舞台。「ひとではないもの」が所員の三分の二を占めるオルデンベルク探偵事務所の所員であるジークもまた、「ひとではないもの」だった。ジークが事務所に戻ると、一人の人狼の子を預けられる。彼を巡って、大きな事件が起こりつつあった……。けっこうまっとうな翻訳ミステリっぽい感じだった。ちょっとだけキャラクターはライトノベルぽくしてあるけど、むしろミステリに近いんじゃないかな。人狼のこどもがどちらの姿も非常に可愛らしかった。ちょっと最初の巻からキャラクターが多いので、混乱するかも。登場人物一覧がなかったらわたしもよくわかんなくなっていただろう。

「だから、共に生きたいと思うんだ」
ジーク「ヴェアヴォルフ‐人狼―オルデンベルク探偵事務所録 (C・NOVELSファンタジア)」(九条菜月・中央公論新社C Novelsファンタジア)p168より