なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)アーサー王に仕える吟遊詩人ミルディンに拾われたグウィナは、男装してミルディンの従者となった。吟遊詩人がいかに現実のアーサー王を脚色して「物語」を広めていくかを傍で見つめる少女の物語。「物語」がいかにして人の心をつかむか、そして「物語」に語る者はどのような思いを込めて語るのか、ということについてとても考えさせられた。「物語」に思い入れのある人におすすめです。本筋の話は、とても泥臭いものだったけれど、そのテーマにとてもひきつけられた。そしてミルディンの愛情には涙(泣いてないけど)。その愛情もまた「物語」なのか、というところが階層構造になっていてまた面白い。羽住都さんの挿画が美麗。 表紙の白い生足が垂涎(笑)。

「いいか、グウィナ、人間ってものは物語が好きなんだ。だから今日、そいつをおれとおまえとで、人さまに与えてやろうとしてるところだ。人が一生覚えてるような話、孫子の代まで語りつたえて、やがて世界じゅうが知るようになる物語を。」
ミルディン「アーサー王ここに眠る (創元ブックランド)」(フィリップ・リーブ・井辻朱美訳・東京創元社ブックランド)p03より

  • 本の愉しみ、書棚の悩み」本の趣味にまつわるエッセイ。なんといっても冒頭の「夫婦の書棚」をひとつにする話がおかしく楽しかった。書痴同志だとこうなるんだろうなあ……。作者の趣味の本、として「極地」のが紹介されているのがまたよい。特別な(萌え)ポイントは、誰もが持っているものだけれど、それが作者にとっては「極地」なのだ、という話だ。

人は祖国や信仰、民族などのために命を投げだすのがふつうだ。それを考えると、十六キロ分の石とそれが象徴する失われた世界のために死ぬのも、そう悪くないと思えるのだ。
本の愉しみ、書棚の悩み」(アン・ファディマン・相原真理子訳・草思社)p33より