なまくらどもの記録 ver.2

読了記録(節操無しエンタメ系)

読了本

  • ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)」<終の帝国>では、スカーと呼ばれる民が蔑まれ差別されていた。スカーの反乱一味に仲間入りした少女、ヴィンは貴族の子女と偽り、密偵の仕事にはげむ。三部作中の一部の完結編。半分まで読んでおもしれー!と思っていたのですが、それどころぢゃないよ!なんだこの怒涛の展開な後半。ブランドン・サンダースンおそるべし……!「エラントリス 鎖された都の物語〈上〉 (ハヤカワ文庫FT)」でも、後半の巻き返しがものすごいと思ったのですが、これ、もっとすごくなってる……!しかもアクションがいいスパイスになっていてよりよくしている。二巻まででふってきた伏線もごっそり回収しまくるし。なんだこの構成力。すげえ。登場人物としては、反乱一味のカリスマリーダーであるケルシャーが、ヴィンによって変わっていくのがとても面白かった。ただのガキ大将だったケルシャーが、少しずつ責任感と重さを理解して学びとっていくのが目に見えてわかって……そしてケルシャーが今回しでかすことといったら……誰も想像つかねえよ!そんなの!いや、伏線あったんだろうけど……。またヴィンたちの活躍もものすごく燃える。私が個人的に好きなのは、執事っぽいキャラクターのセイズド。常に「お嬢様」を守ることを誓ったのに、言うことは言う、そしてちゃんと考えることができる、知識がある。かっこいいじゃないですか。今年のファンタジー殿堂入りは間違いないです。おすすめ。一巻よりは二巻、三巻と面白くなっていきます。

「みんな、頭がイカレてる。」ヴィンはつぶやいた。「こんなことできっこないよ。ドクス。あたしたちは無敵じゃないんだから」
 ドクソンが鼻を鳴らす。「おれたちは、まったくの役立たずってわけでもないぞ」
ミストボーン―霧の落とし子〈3〉白き海の踊り手 (ハヤカワ文庫FT)」(ブランドン・サンダースン・金子司訳・早川文庫FT)p238より

 後記・他の方の感想見て気付いた。そうか!この世界観って、「ジョジョ」っぽいんだ!*1なるほどほるほど!

  • 15×24 link two 大人はわかっちゃくれない (15×24 シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)」「15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫)」2005年の大晦日、「ゲーム」は始まった。誤って送信されてしまった自殺をほのめかすメール。彼の自殺を止めるために少年少女たちが集結し、彼を探し始める。元は関係なかったはずのきなくさい「オトナ」たちも関わり始めてくる。この「ゲーム」の「ゴール」は何だ?「自殺」を「是」とするか、が物語の中で語られ、一人目の犠牲者が……。あまり強固な関係には見えなかったので、「裏切り者」と言われてもあまりインパクトは感じませんでした。それぞれにそれぞれの理由があって、たまたま行動しているだけ、お互いの関係に信頼とかがあるわけではない、そんな危うい関係の中で生きていくのって、なんか疲れそう。「信頼する」って、自分を楽をすることでもあるんだなあと思います。話は面白く読めたのですが、もう少し黒いキャラクターを魅力的に描けるともっと面白くなるのになぁ、とうずうずします。ヤクザとか、<17>フェイクとか。彼なりの理由とかそんなものも失せるぐらいの透明な黒さとか、そんなものが表現できたら、もっともっと、すごい領域にいけるのにー!あ、ジュンくんにはなんか同情してしまう……かわいそ。

件名:Re:自殺ってどーよ?
15×24 link two 大人はわかっちゃくれない (15×24 シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)」(新城カズマ集英社スーパーダッシュ文庫)p204より

 これが<洞窟ゲーム>なんだ。
15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫)」(新城カズマ集英社スーパーダッシュ文庫)p204より

  • 余寒の雪 (文春文庫)宇江佐真理さんの時代もの短編集。時代もののばらばらな短編集は初めて読んだけど、んー、あまり好きではないなー。長編とか短編連作の方が好きです。表題作はなかなかおもしろかった。女武者が無理やり見合い相手の家に居候させられて……というお話で、居候先の子供と真剣に喧嘩しちゃったりするのが可愛い。この後の話も読みたいと思わせてくれる。

*1:読んだことないのでイメージでものいってます